県内続々90施設、障害のある子ども対象
広島県内で、障害のある子どもを対象とした放課後等デイサービスが相次いで開設され、体操や音楽などの多様なメニューを提供している。自立促進と居場所づくりを目的にした児童福祉法改正などで、民間参入が増えていることが背景にある。 児童5人がポンポンを手に足を上げる。広島市安佐北区の「こどもデイサービス笑顔 口田」でのチアリーディング体験会。児童はスタッフに体を持ち上げられると、笑顔で両手を突き上げた。 4年生の長女(10)が参加した寄本真里子さん(44)は「とても楽しそう。こんなに積極的な娘は見たことがない」と感想を話す。 同事業所は、10年以上チアリーディングを指導する区内の有資格者たちがつくった。代表の片山宗光さん(42)は「自分を表現し、積極的に人と関われるようになる」と狙いを語る。デイサービスで受け皿を広げ、地域イベントなどで披露するのが目標という。 県内で放課後等デイサービスを運営する事業所は6月末現在、90施設。うち改正法施行の4月以降に新たに開設されたのは25施設。乗馬や音楽、絵画を療育に取り入れるケースもある。開設時に規模などの明確な基準がなく、民間参入のハードルが低いとみられる。 一方、「療育の質」の担保を求める声も。発達障害の子どもの支援策などに詳しい広島大大学院教育学研究科の七木田敦教授は「事業所はさらに増えるだろう。選択肢が広がるのはいいが、専門性をどう確保するか。官民での評価システムが必要」と指摘する。 障害のある子の保護者や支援団体、事業所などでつくる「県放課後ネット」は今春から、研修会や連絡会を重ねる。竹内卓男事務局次長(56)は「子どもを預かるだけでなく、一人一人と深く関わる場をつくりたい。新しい事業所とも情報交換し、質を高めたい」と話す。(有岡英俊) (2012.7.8)
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