相談増で予約待ち/授業補助員不足 発達障害のある子どもの生活を、学校や地域で支える体制に課題が浮かんでいる。東広島市の専門機関では保護者からの相談が増え続け、授業などを補助する教員や専門施設も不足しがち。市は、教育現場での支援強化のため、専門機関と市教委の連携を強める方向で検討している。 息子が2歳の時に発達障害と診断を受けて約10年。市内の40歳代の母親は数年前、すがる思いで専門機関に面談を申し込んだが、予約で埋まり数週間待ち続けた。「中学進学や就職でも悩むかも。また不安を抱えたまま待つのだろうか」と苦渋の表情を浮かべる。 市内では、子どもの発達障害に関する相談が増えている。市子育て・障害総合支援センター「はあとふる」によると、本年度は昨年12月までに延べ約1500件。前年度を上回るペースで乳幼児から中学生までの保護者などが半数以上を占める。 発達障害者への生活支援は国が自治体や関係機関とともにサポートするとした法律を2005年に施行し、本格化。市は07年、はあとふるを設置して精神や知的、身体障害とともに発達障害の相談も受けてきた。教育現場も重視し、小中学校や幼稚園、保育園の要請に応じて社会福祉士などを派遣している。 ただ、要員は十分でなく、小中学校の授業で子どもの補助を目的に市教委が任命する教育支援員やサポーターは各校1、2人にとどまる。はあとふるは新年度、学校での支援強化に向け、市教委との連携を深める方針。学校生活の相談事業でアドバイザーを務める元教員と、支援を定期的に協議するという。 集団生活に慣れるため専門スタッフの指導で過ごす児童デイサービス施設は、市内に4カ所で定員は計50人。県発達障害者支援センターの堂下真実相談員(25)は「受け皿を支える人材の育成を充実させていくことが望まれる」と指摘する。 適切なケアが受けられず、学業や就労に悩む人もいる。広島大大学院教育学研究科の落合俊郎教授(特別支援教育学)は「早めの適切なサポートで生活も改善する。学校や専門機関が連携し、継続して支える仕組みが欠かせない」と提言する。(新谷枝里子、境信重) (2011.2.12)
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