中国新聞


子ども発達相談室 満員
障害への理解進み件数急増 福山市
検査順番3ヵ月待ち続く クリック


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検査をしながら、相談員(奥)と子どもの発達状況を確認する親子

 福山市が開設する子ども発達相談室(三吉町南)で、発達障害検査の順番待ちが、3カ月前後に及ぶ状況が続いている。発達障害についての理解が広まったことで相談件数が最近になって急増。非常勤の委託相談員2人体制による、週4日の対応では追い付かない状態だ。

 子ども発達相談室は2007年5月、市がすこやかセンター内に開設。市が委託した社会福祉法人の職員2人が週2日ずつ受け持ち、対応してきた。

 相談は無料だが予約が必要。年間約400件の相談の大半は発達障害に関する内容で、その検査は3カ月待ちの状況が1年以上続いている。

 検査では、子どもがおもちゃで遊ぶ様子を観察したり、子どもに話し掛けたりする。生活状況の保護者への確認や書類への記録を含めると、1件の対応には2、3時間かかる。1日2、3件しか受け入れられないため、ここ2年で1・5倍に増えた相談の申し込みをこなし切れていない。

 福山市の主婦(40)は「検査してもらって子育ての方向性が分かったが、悩みをしばらくがまんするしかなかった。少なくとも順番待ちは1カ月に短縮してほしい」と望む。

 発達障害は2005年4月の発達障害者支援法施行以降、行政対応が進む。以前は性格的な問題と混同されていたが、近年、理解が進み、相談や診療が急増している。一方、検査などができる専門家はまだ全国的にも少ない。福山市でも相談員増加の要望があるが、市は「人材を確保できないため難しい」と説明している。

 本来、発達障害か否かは医師が最終的に診断する。ただ、専門医が少なく、診療も時間を要するため、県東部では順番待ちが最大1年以上に及ぶという。

 市は現在、未就学児の発達障害に早期対応する県東部療育センターの設置に向け、県や近隣自治体と協議を進めている。福山市立女子短大の高橋実教授(特別支援教育)は「それぞれの地域で発達障害の専門家を養成することが求められている。個性に応じて少人数で保育、教育する社会システムを構築することも大切だ」としている。(野崎建一郎)


クリック 発達障害 自閉症やアスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、広汎性発達障害などの脳機能の障害の総称。通常、低年齢で症状が出る。

(2010.4.18)


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