4年半ぶり、岡山大が医師派遣へ 福山市民病院は10月1日から、休止していた産婦人科の産科部門を4年半ぶりに再開し、分娩(ぶんべん)を受け入れる。広島県内で分娩可能な医療機関は63カ所で、この5年間で12カ所減った。分娩受け入れを再開した尾道市の公立みつぎ総合病院は4月から休止に再び追い込まれるなど、医師不足の影響は深刻化している。 岡山大から常勤医師2人の派遣を受けられるようになり、再開が実現した。医師2人と現行の助産師5人の計7人体制で運営する。年間の分娩数は、休止前の2006年度実績(147件)以上を目指す。 福山市民病院は07年4月から、産科部門の分娩と危険に陥った妊婦の救急の受け入れを休止していた。婦人科部門も同時に休止したが、地元医師の協力ですぐに再開。婦人科部門の医師は常勤1、非常勤1の現行体制で継続する。 産婦人科の休診は、岡山大病院が医局の人員不足を理由に派遣を打ち切ったのが原因だった。同大病院産科婦人科の平松祐司教授は「日本産科婦人科学会の強いアピールで産科医を志す若者が増え、派遣再開の見通しが立った」と話す。 同市では現在、9医療機関が分娩に対応している。9日の記者会見で市民病院の高倉範尚院長は「救命救急センターを備えた市民病院が産科部門を再開することで、圏域の母胎救急が充実する」と説明。羽田皓市長は「岡山大と連携を強め、医師のさらなる確保に努める」と述べた。 一方、公立みつぎ総合病院は08年9月に分娩の受け入れを再開していた。しかし、医師2人のうち1人が定年退職したのに伴い、ことし4月に分娩を再び休止した。(門脇正樹、山成耕太) (2011.8.10)
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