広島県教委が配布拒否 第三者機関設置に難色 「学校運営の妨げ」 広島市が本年度中の制定を目指す子ども条例をめぐり、広島県教委は17日、条例素案を紹介する市作成のパンフレットを、県立学校に配布することを拒否する考えを市に伝えた。子どもへの権利侵害があった場合に、学校に改善を要請できる第三者機関を設置する内容に対し、県教委は円滑な学校運営が妨げられる懸念を表明。素案に基づく条例に反対の立場を明確にした。 県教委と市によると、市は7月、市内在住の生徒が通う県立高校や特別支援学校へのパンフレット配布を了承してもらうよう県教委に要望。県教委は回答を保留していたが、17日に「承諾できない」と電話で答えた。 条例は、いじめや虐待の防止、不登校に悩む子どもを支援することが目的で、市は昨年12月に素案を発表。学校で子どもへの権利侵害があった場合、子どもや保護者の救済申し立てを受けて調査し、学校に改善要請できる第三者機関の設置などを盛り込んだ。 県教委指導3課の中村弘市課長は「第三者機関に円滑な学校運営が妨げられる懸念がある。配布を承諾すると素案に賛同したと誤解を受ける」と説明。県教委は、携帯電話の校内への持ち込みや、バイク免許取得などを禁止する校則をめぐって救済を申し立てられる懸念を示す。 市こども未来企画課の小川仁志課長は「パンフレットは市民に情報提供し、是非を判断してもらうもの。配布を拒む理由は理解できない。県教委には何度も説明しているが、あらためて説明に行きたい」としている。 子ども条例の制定に対しては、市議会内にも「子どもの行き過ぎた権利主張を招く」などと反対意見が根強い。市は14日開会の市議会定例会への条例案提出を見送っている。(永山啓一、教蓮孝匡)
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