広島市が制定方針 議会・市民に賛否
広島市は二十二日、「子どもの権利に関する条例(仮称)」の本年度中の制定を目指す考えを、市議会子育て支援対策等特別委員会で表明した。ただ、議会内や市民の賛否は分かれており、内容の検討作業が順調に進むかどうかは流動的だ。 ▽作業の進展は流動的 市は子どもの権利内容や、権利侵害に関する相談拠点の整備方針を盛り込んだ骨子試案を昨年八月に発表。昨年度中の制定を視野に入れていたが、「議論が活発化しており、時間が必要」として議会への条例案提出を見送った経緯がある。 この日の特別委で、こども未来企画課の小川仁志課長は「具体的な条例案の検討作業中で、本年度内の制定を目標としている」と説明。昨年十一月から二月にかけて公募した骨子試案に関する市民意見計五百七十四件の概要も公表した。 市民意見では、理由を明記せず賛否だけを記述するケースが目立ち、反対が賛成を大きく上回った。理由を挙げた反対では権利の乱用への懸念を示した内容が最多で、賛成では子どもの発達を保障するために必要とする考えが多かった。 議員からは「道徳や規範性の教育を先にしなければ権利の乱用につながる」と慎重な意見が出た。一方で「児童虐待が社会問題となる中、子どもの尊厳を守るためには必要」との声もあった。 市は今後、出前講座などを通じて条例の必要性を広く市民に伝えていく方針を示した。(水川恭輔) (2009.5.23)
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