広島の県立高 「学校全面禁煙が効果」 広島県内の県立高校で、生徒の喫煙での指導件数が激減している。県教委によると、記録が残る中で最も多い2000年度は年間2105件だったのが、08年度は427件と5分の1になった。県教委や専門家は、学校の全面禁煙化の効果や、健康への影響を懸念する意識の高まりなどの影響とみている。 生徒の喫煙による指導件数は00年度以降、減少してきた。県教委は、健康増進法の施行に合わせて03年5月、すべての県立学校に対し、敷地内を全面禁煙にするよう通知。公共施設の受動喫煙防止に努力義務を課した同法への対応策で、成人の喫煙を想定した通知だったが、04年度は生徒喫煙の指導件数が785件と千件を切った。 07年度には397件まで減り、08年度は427件とやや増えたものの、00年度比では激減したといえる。 県内の高校の一つは、1年生を対象に、医師を招き喫煙による肺がんの危険性について学習する「喫煙防止教室」を続けている。この高校では03年度に82件だった喫煙の指導件数が、08年度は18件まで減った。校長は「校内で吸い殻を見なくなった。教員が生徒の前で喫煙しないことで模範を示す効果は大きい」と強調する。 08年5月には、自動販売機でのたばこ購入に、成人識別カード「タスポ」が導入されるなど、未成年者がたばこを購入しにくい環境になっている。 日本たばこ産業(JT)の09年の全国調査では、たばこを吸う成人の割合は前年比0・8ポイント減の24・9%。14年連続で過去最低を更新した。 県医師会で禁煙推進委員会委員長を務める日本赤十字広島看護大の川根博司教授は「『たばこを吸うのが格好いい』という社会風潮がなくなっているのも、生徒の喫煙が減った要因の一つ。ただ未成年の喫煙は一定数あり、喫煙防止の取り組みは続ける必要がある」と指摘している。(永山啓一) (2010.1.9)
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