広島県東部の公立 取り組み拡大 広島県東部五市の公立小中学校のうち、全体の約二割に当たる二市の三十四校が全面禁煙にしていることが二十五日、中国新聞の調べで分かった。ほとんどが福山で、他市でも分煙や校舎内禁煙などの措置が講じられている。喫煙に規制を強める考えの学校も多く、学校の「無煙化」が加速しそうだ。
全面禁煙は、学校の敷地内では外来者を含めてすべて喫煙を禁止する措置。四月一日現在で実施しているのは福山が小学校二十八校、中学校五校の計三十三校、三原が小学校一校だった。 尾道、府中、因島では九割以上の学校が、校舎外に喫煙コーナーを置いたり、喫煙を子どもがいない時間帯に限定したりしている。 福山市山手町の泉小は四月に全面禁煙化したばかり。中野孝校長は約三カ月かけてたばこを断った。「つらかったが、模範を示す立場。率先してやめた」と言う。 福山では、少なくともほかに十一校が二〇〇四度中に全面禁煙に踏み切る見込み。尾道でも三校が検討している。 福山に全面禁煙の学校が多い背景には、市教委の強い意向がある。健康づくりの指針「健康ふくやま21」にも、〇五年度末までの公立校の全面禁煙を明示する。飛田洋悟指導課長は「実施が遅れる学校には、個別に事情を聴き指導したい」としている。 他市の現場にはしかし、戸惑いも残る。「校門外で吸うようになれば見苦しい。喫煙室などを設ける方がいい」(尾道の中学校)、「来客者まで規制できない」(三原の小学校)などの声も漏れる。 全面禁煙化は、喫煙者や地域住民の理解が鍵を握る。府中の南小は〇三年度、運動会の来場者に禁煙を呼び掛けた。今後は校門に張り紙や灰皿を設置するなどして、段階的実施を目指す。 福山市医師会喫煙対策委員会の宮田明副委員長は「先生や保護者の喫煙は『たばこを吸ってもいい』と、誤ったメッセージを子どもに伝えてしまう。学校で喫煙を控えるのはいまや当然の流れだ」と指摘している。 (2004.5.26)
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