優秀実践校で文科相表彰 東広島の木谷小 地域住民ら本紹介
子どもを図書室に呼び込み、本に親しんでもらう試みが学校現場で広がっている。東広島市安芸津町の木谷小(81人)は、室内の壁に絵を描き、本棚を低くするなど利用しやすく改装。読書活動推進員やボランティアの支援を得て、本の紹介にも力を注ぐ。優秀実践校として文部科学大臣表彰も受けた。 町特産の赤ジャガイモ畑の白い花と瀬戸内海を描いた壁画が目を引く。毎週水曜日、学年ごとに1時間開く読書の時間。ドアを取り払い、開放感を打ち出した入り口から図書室に児童が入ってきた。 テーブルにはヒマワリを飾り、本を円形に並べている。3年の山崎菜々子さん(8)は「きれいなので来るのが楽しみ」と喜ぶ。 木谷小が図書室の改装に乗り出したのは2005〜06年。当時、壁はくすみ、本棚には古びた本がたまっていた。 ▽広島大生が協力 安田女子大の教員の助言を受け、本棚を児童の目線へと低くした。古い本を抜き取り蔵書約5千冊を半減させた。広島大生の協力で高さ4メートル、幅15メートルの壁いっぱいに絵を描いた。 08年度の貸出数は1カ月平均772冊。児童1人が8冊前後借りた計算だ。坂田真澄校長(56)は「図書室を訪れる児童が増え、語彙(ごい)力や読解力がついた」と手応えを話す。ここ数年、5年生の国語の学力は広島県平均を上回る。 蔵書は約3700冊。文部科学省が学級規模に応じて定める目標値は下回るが、量より質を重視。地域の大人たちが本を児童に橋渡しする役を務め、読書意欲を高める。 近くの安芸津中に常駐する市の読書活動推進員、柄(つか)邦子さん(53)は水曜日に木谷小で勤務。児童のリクエストに応えて棚から本を選び、市立図書館から取り寄せることもある。 「読みたい時にぴったりの本を届ける。好きな本ばかりに偏らないよう読書の世界を広げたい」と柄さん。お薦めコーナーも設け、内容の充実を図る。 ▽階段踊り場にも 小学校はボランティアや教員による読み聞かせも月1回開催。児童が本に触れる機会を増やそうと「学校まるごとライブラリー」を掲げ、階段の壁際や踊り場など6カ所にも本を並べている。 本との触れ合いを学校の特色と位置づける木谷小。読書環境の整備は、学校側の高い意識と地域ぐるみの活動のたまものといえる。 図書室の改装を指導した安田女子大の中島正明教授(60)は、図書室の応援団として地域の力を認める。一方で「図書室の運営主体はあくまで学校。教員の意識を高め、学校と地域を結ぶ自治体の役割も欠かせない」とし、コーディネーターとしての行政支援の必要性も指摘している。(境信重) (2009.7.27)
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