中国新聞


ケータイ異変<1> 友だちとの関係
確認・連絡「義務みたい」


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自慢のケータイは色とりどり。女子中学生にとってはファッションの一部になっている(撮影・高橋洋史)

 「ケータイがなかったら? 困るよ。生活できない」。ミキ(13)は大まじめな顔で即答した。広島市立中の一年生。メール、携帯サイトの閲覧、ゲーム…。通話以外の機能もフル活用している。

 最近はケータイで作成した「ホムペ」に夢中だ。プロフィルや日記、お気に入りの画像などを載せたホームページの略称。女子中高生に人気がある。開設は簡単。「無料ホムペ作成」をうたうサイトに接続し、手順通りに操作するだけだ。

 閲覧者がコメントを寄せる欄もある。「更新、頑張れ」「読んだよ」。メッセージがうれしいから、日記は欠かさない。

 不特定多数に公開するため、危険を予感させる場面もある。「東区、男。(電話)番号教えて」。見知らぬ人から接触があった。誘いに乗った。ケータイ越しの会話は楽しかった。声の感じは同世代。「会おう」と迫られ始めて「気持ち悪くなった」。送られてきた写真の容姿も気に入らない。メールも電話も無視した。連絡は途絶え、事なきを得た。

 ケータイを巧みに操作する子どもたち。あまりに危うく映る。が、ミキは平気顔だ。「自分がしっかりしてれば大丈夫。危なくなんかないよ」。最近は風呂場にもケータイを持ち込む。ホムペのコメントにも、友だちからのメールにも、すぐ答えたいから。「ないと不安。あれば退屈しない」。友だちと自分をつなぐケータイは、必需品なのだ。

 「なんか変」。友だちとの関係に違和感を覚え始めたのは、市内の私立高に通うノゾミ(17)。小学六年だった五年前から、ケータイを使う。当初は、塾の終了時間を親に伝えるのに利用していた。今は専ら、メールとホムペのチェックに使う。

 「無視しとる?」。友人からある時、そんなメールが届いた。最初のメールに三十分ほど、気付かなかっただけなのに。以来、十分以内に返せない場合は「返信が遅くなってごめん」と書き出すようになった。

 今夏、海外留学をした。ケータイのない生活。解放感があった。が、次第に心配が芽生えた。留学を伝えなかったあの子からメールが来ているかも―。「連絡が義務みたいになってる。おかしいですよね」(名前は仮名)

◇  ◇

 小学生が携帯電話を持つ時代。親は「緊急連絡用」に持たせたつもりでも、電話以外の機能を備えた「ケータイ」は、子どもに大きな影響を及ぼしている。いじめや犯罪につながるなど、トラブルは絶えない。子どもの利用実態とそばにいる大人の姿を追った。(田中美千子、永里真弓)

(2008.12.1)


ケータイ異変
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