プレールーム 菓子作り体験 サービスこまやか
広島市中区の本通り商店街にあるビルの一角。休日には幼い子どもを連れた買い物客でにぎわう。メガネのタナカ本店二階に二年前、おもちゃや絵本などの遊具を備えたプレールームができた。 「本通りは子どもを遊ばせる場所が少なく、家族連れでゆっくり買い物できない。気軽に立ち寄ってほしい」と中原行崇副店長。これまで子どもが陳列した眼鏡を触って壊すケースもあったため、子ども用眼鏡の専用フロアに併設した。 当初は同店の買い物客向けだったが、本通り全体が郊外型ショッピングセンター(SC)にファミリー層を奪われている現状を憂慮。五月から一般に開放した。「三十―四十歳代のお客さんを取り戻すきっかけにしたい」。中原副店長は力を込める。 ▽売上高など減 中国新聞社が実施した本通り商店街の店主たちへのアンケートでは、32・9%がSCの相次ぐ出店で売上高や来店客が減ったと答えた。来年も、大手スーパーが安佐南区に大型SCを出店するなど郊外店との競争は続く。 ただ、本通りを見詰める子育て中の母親たちの視線は厳しい。市中心部でベビー休憩室などを紹介するマップを作っている「子どもと一緒におでかけ隊」の池口良子代表(39)は「SCには駐車場もあり通路が広くて安心。本通りはバリアフリーになっていない店もあり、ベビーカーでの移動は不便」と課題を指摘する。 商店街で子育て世代を呼び込む取り組みは徐々に広がっている。本通りに面した広島アンデルセンは八月、子ども向けのパンやお菓子づくり講習会を連日開いた。昨年からの試みで、今年は親子約千組が参加した。 ▽「SCに対抗」 本通り商店街などでつくる市中央部商店街振興組合連合会(中区、中振連)は十月半ばにも民間駐車場と協力し、ベビーカーの無料貸し出しを始める。中振連の望月利昭理事長は「今後は貸し出し拠点を駐車場以外に増やすなどニーズに応えたい。SCに負けないショッピング環境を商店街ぐるみで進めたい」と強調する。 青果、飲食、洋品、おもちゃ、宝石、美容室…。「平面デパート」とも称される本通りは、SCに負けない店舗構成を持つ。それを街の魅力にどうつなげていくのか―。 全国商店街振興組合連合会(東京)の桑島俊彦理事長は「商店街は暮らしのプラットホーム。店主と掛け合いを楽しみながら買い物できるような人情味と、きめ細かいサービスがSCにはない魅力だ」と説く。(増田咲子)
(2008.10.1)
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