店づくり 育児体験反映 広島市内
子ども連れをターゲットにしたカフェが進化している。広島市内にも、広いキッズルームに良質なおもちゃをそろえた店、低い手洗い場など子どもに優しい設備を整えた店が相次いでオープンした。自らの子育て体験を基にした店づくりが、子育て世代のココロをわしづかみにしているようだ。 ▽広い遊び場/健康メニュー ボールプールに滑り台、ままごとができるキッチン…。シンプルで創造力をはぐくむボーネルンド社製の遊具で遊べる約百六十平方メートルのキッズルームを備えるのは、広島市西区大芝の「Tsubomi cafe:dining(ツボミカフェ:ダイニング)」。今年四月に開店以来、客が引きも切らない。 キッズルームには保育士資格を持つスタッフがおり、生後六カ月から七歳まで一時間三百円で利用できる。親たちは透明の仕切り越しに、体を動かして遊ぶ子どもたちを眺めながら食事を楽しむ。四歳と二歳の娘がいる主婦冨永文江さん(33)は「ここなら子どもも喜ぶし、大人も安心してゆっくり食べられる。ストレス発散になる」とお気に入りだ。 ランチ、カフェ、ディナー・バーが楽しめるしゃれた空間と、広いキッズルームが同居する店を発案したのは、二児の父親でもあるオーナー中本達也さん(33)だ。 中本さん自身、子どもと外出するとゆっくり食事ができないし、おしゃれな店にも行けないことを不満に思っていた。「子ども連れが主役になれる飲食店があってもいいでしょう」。思いは、子育て世代のニーズとがっちりかみ合った。
子ども連れへのきめ細かい配慮が際立つ店もある。広島市西区草津新町に五月にオープンしたカフェ「ハー・ストーリィハウス」。子どもと過ごしやすいように座卓を配し、おもちゃや絵本も置いた「キッズ優先スペース」に加え、店の中央には子どもの背の高さに合わせた手洗いコーナーも設けた。 シェフ五人は全員主婦。「キッズメニュー」(五百円)は、玄米か白米のおにぎりを選べる上、野菜もふんだんに使った薄味の家庭料理。「物を大切にしてほしい」と、子ども用の食器も陶器にこだわる。運営するハー・ストーリィの佐藤緑副社長(48)は「子育てを終えた私たちが子育て世代に向け、食育の視点を取り入れたカフェを考えた」と説明する。 子どもと一緒でも入れる店ではなく、子どもと一緒に楽しめる店が、これからは増えそうだ。(平井敦子) (2008.7.5)
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