子連れOK 飲食店進化 ■親の息抜きにも一役 子ども連れにもやさしい飲食店が、進化している。これまでのように子ども用のいすや食器があるだけにとどまらず、店内にチャイルドルームを設置する店が登場。カフェバーにも、子連れを歓迎する店が現れた。核家族の孤独な子育てが社会問題化している。子どもと一緒に出掛けられる場所が増えることを喜ぶ親たちは多い。(平井敦子) 二畳ぐらいのスペースに、おもちゃや絵本、アニメーションのDVDが見られるテレビが置かれている。幼い子どもたちが遊んでいた。ガラスの窓の向こうに見えるのは、ランチを楽しむ母親たち。 広島市安佐南区西原の和食店「こころ庵(あん)」には、食事をするスペースのすぐそばに、そんなチャイルドルームがある。 育児サークルで知り合ったという母親六人はそれぞれ、〇―二歳の子どもを連れてきていた。主婦三木典子さん(34)=安佐南区=は「いつも外食の時は子どもが動き回って、落ち着かなかった」と話し、「ここなら子どもたち同士で遊べる場があるから、ゆっくり食べられます」と喜ぶ。 このチャイルドルームの隣には子ども用トイレとおむつ替えシートもある。昨年十一月のオープン以来、ルームの近くの席を指定する客が相次いでいる。「施設を整え、『子ども連れの方もぜひ来て』とのメッセージが伝わるとうれしい」と店員の一人は説明する。 居酒屋にも、チャイルドルームを備えた店がある。安佐南区川内の「ざこかい菜 川内元気食堂」。五十席ある座敷の奥に二畳半ぐらいの子ども用のスペースがある。さらに昨年秋から、二時間食べ放題のコースに子どもの身長別の料金を設定した。九〇センチ未満は無料、九〇―百二〇センチは八百円…。子どもはソフトドリンクも飲み放題のサービスが受け、日曜日の早い時間はすべて子連れの客になる日もある。 刎本(はねもと)茂店長(37)は「居酒屋といっても食事がメーンの方が最近は多い。早い時間にうまく利用されていますよ」。 カフェバーも例外ではない。広島市中区袋町の「ラムネズバー」の三田大輔店長(32)は「うちは『親子カフェ』を目指しています」。特別子ども用のサービスがある訳ではないが、子ども連れの客の受け入れに積極的だ。 三田さん自身が二児の父親で、「子どもが好きなので。ただし、子どもさんは午後九時ごろまで」と説明する。店の名前の通り、ラムネも飲める。九歳の長男と時々、訪れるというエステシャン橋本京子さん(30)=西区=は「ファミリーレストランもいいけど、たまにはしゃれた雰囲気も味わいたい。ストレス解消にもなります」とすっかり気に入っている。 夜に子どもと一緒に飲食することに抵抗感のある人もいる。ただ、子育てのストレスや孤独感が癒やされる効果はある。時間帯には配慮し、マナーを守りたい。 (2007.8.6)
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