新山京子さん
元ジュニアライターの新山京子さん(19)は昨年6月から米国オハイオ州に留学し、マウント・ユニオン大2年生です。 大学では、平和について考える授業の中で、広島の原爆被害について発表しました。広島市が全米各地で開いた原爆展のパネルが大学にもあり、それを使ったそうです。 発表を聞いた米国人学生から「被爆者は米国を恨まず、平和を伝えていこうとなぜ思えたのか」との質問を受け、「怒ることもできないほど、生きていくことで必死だったからでは」と答えたそうです。 また、大学の友人と平和活動をするサークルをつくろうとしています。米国人に原爆についてもっと知ってもらい、平和に対する意識を高めてほしいからです。「活動を通じて広島と米国の高校生などが交流する橋渡しをしたい」と話しています。(中3・西田千紗) |
中重彩さん
元ジュニアライターで島根県立大2年の中重彩さん(19)=松江市=は現在、学内の有志と地域雑誌「のんびり雲」を発行したり、全国の大学生で作る新聞の記事を書いたりしています。 中重さんは「学校の中では学べないことに触れてみたい」とジュニアライターに応募しました。高校2年の秋から約1年半にわたって幅広い世代の人たちから平和について話を聞き、自分の考えをまとめて伝える力がつきました。せっかく身についた力を失ってしまうのはもったいないと、今の活動を始めました。 大学に入ってから書いた記事では地域の人々を取り上げています。「人の経験を聞くことで自分が成長できる」と教えてもらいました。これからも人とのかかわりを続け、刺激を受けていきたいと話していました。(中3・西田千紗) |
マディナ・サディコワさん
廿日市市の山陽女学園高等部に留学中、ジュニアライターとして活動したマディナ・サディコワさん(20)は、母国カザフスタン東部のセメイにある大学で医学を学びながら週1回、日本語を教えています。生徒は中高生や大学生約20人です。 教科書を使って日本語の単語や文法を教えるだけでなく、平和も題材にしています。「ひろしま国」創刊号で取り上げた平和の歌「ねがい」も教材にしました。「国や言葉は違っても、歌は人をつなぐことができる」と強く感動したからだそうです。 広島で平和について学んだことを、母国の子どもたちにも知ってほしいので、「いつか私の生徒と広島の子どもたちが交流できる機会をつくりたい」と話していました。(中1・白川梨華) |
元ライター: 菅近隆、中重彩、本川裕太郎 現ライター: 坂田悠綺、小坂しおり、坂本真子 |
■ 外国人の意見に刺激/平和クラブができた/いろんな企画挑戦を
―「ひろしま国」も50号を迎えました。ジュニアライターとしての活動期間はそれぞれ違うけど、振り返っての感想は。
新旧ジュニアライター座談会の様子です |
中重 幅広い世代の人に会えた。進路で悩んでいた時に始めたから取材先で聞いた話が参考になった。
小坂 学校に通っているだけでは体験できないことがたくさんあって、視野が広がったと思う。
菅近 平和記念式典の取材が印象に残っている。特に外国の人は自分とは違う意見を持っていて刺激を受けた。
小坂 英語で話しかけられて焦ったよ。
坂田 歩いている知らない人に話しかけるのも緊張した。でも同じ質問なのにそれぞれ違う答えをもらって、楽しかったよね。
中重 私は、13号で平和報道に携わる大人の記者を取材したことがきっかけで、どういう質問が相手の気持ちを引き出すのか考えるようになった。普段の生活にも通じていると思う。
―難しかった取材は。
坂本 31、32号の「平和の切手」特集。切手について知識がなかったから。
本川 僕は歌に詳しくないから「平和の歌」を特集した27号は質問をなかなか思いつかなくて大変だった。
坂田 専門用語がたくさん出てくるのも難しいよね。
小坂 専門用語じゃなくても、難しい言葉が続くと大変。理解しなかったら質問も返せないし、記事を書く時も分からなくなるから。
本川 事前の準備が大切。質問を考えるだけじゃなくて、どんな記事を書きたいのかイメージを持っておくと、理解しやすいよ。
―「ひろしま国」の成果って何だろう。
菅近 身近なところでは、創刊号で平和の歌「ねがい」の取材をした後、自分の学校でも歌詞をつくろうと呼び掛けが起こった。
坂田 記事を読んだ先生が呼び掛けて、学校に平和クラブができた。
中重 平和に対する考えが深まった。活動する前は「平和=原爆」で過去のことだと思ってた。
本川 環境特集をしたときは「これも平和につながるんだ」って、新しい発見だった。
菅近 米国のオバマ大統領を呼ぶプロジェクトなど、僕たちの卒業後から、自分たちが主体になって活動する企画が増えてうらやましい。
―今後の課題は。
小坂 自分の意見や取材で感じたことを記事にもっと盛り込んで、大人に知ってもらいたい。
本川 そのためには自分の考えをしっかり持たないと大人は向き合ってくれない。いろんな経験を積んで考えを深めて。
坂本 私は世界中の人に「ひろしま国」のことを知ってもらいたい。
菅近 客観的な記事から一歩先に進んだら、もっと面白くなる。自分たちが主体となって何かを変えるよう、いろんな企画に挑戦しよう。