よしろうがじどう公園(こうえん)に行(い)くと、いちょうの木(き)の下(した)にこうじくんは立(た)っていました。
「おいかけっこしよう」と、よしろうはいいました。
「ぼくが五(ご)かぞえるから、そのあいだににげて。五かぞえたら、おいかけるからね」
「わかった」
「じゃあ、いくよ」
よしろうが数(かず)をかぞえるあいだに、こうじくんは公園のはしまでにげていきました。
数をかぞえおえると、よしろうは、こうじくんにむかってびゅうっとはしっていきました。こうじくんは、よしろうのいきおいにおどろいたのか、にげださずにうろうろするばかりです。すぐに、よしろうにつかまってしまいました。
「にげなきゃだめだよ。オニをよけながらはしるんだよ。もう一回(いっかい)」
こうじくんがにげはじめました。
数をかぞえおえたよしろうは、またまっしぐらに、こうじくんめざしてはしりました。こうじくんは、いちょうの木のまわりをぐるぐると回(まわ)ってにげます。それから木のそばをはなれ、すべり台(だい)のほうへむかおうとして、そこでよしろうにつかまりました。
こうじくんは声(こえ)をたててわらっていました。
「こんどは、こうじくんがおいかけるばんだよ」と、よしろうはいいました。
「一、二、三、四、五(いち、に、さん、よん、ご)。よおし」
こうじくんがおいかけてきます。よしろうは右(みぎ)にはしったり左(ひだり)にはしったりしてにげます。すべり台にのぼって、しゅうっとすべり、それからまたにげます。こうじくんもあきらめずにおいかけてきます。
いちょうの木のまわりをぐるぐる回って、それから、にげだそうとしたとき、石(いし)につまずいて、よしろうはころんでしまいました。
「つーかまえたあ」と、こうじくんはよしろうのうでをぎゅっとつかみました。はあはあいいながら、こうじくんはわらいだしました。