「ちいさなちいさな海」   その5 公園でおいかけっこ

 よしろうがじどう公園(こうえん)に行(い)くと、いちょうの木(き)の下(した)にこうじくんは立(た)っていました。

「おいかけっこしよう」と、よしろうはいいました。 イラスト

 「ぼくが五(ご)かぞえるから、そのあいだににげて。五かぞえたら、おいかけるからね」

「わかった」

「じゃあ、いくよ」

 よしろうが数(かず)をかぞえるあいだに、こうじくんは公園のはしまでにげていきました。

 数をかぞえおえると、よしろうは、こうじくんにむかってびゅうっとはしっていきました。こうじくんは、よしろうのいきおいにおどろいたのか、にげださずにうろうろするばかりです。すぐに、よしろうにつかまってしまいました。

「にげなきゃだめだよ。オニをよけながらはしるんだよ。もう一回(いっかい)

 こうじくんがにげはじめました。

 数をかぞえおえたよしろうは、またまっしぐらに、こうじくんめざしてはしりました。こうじくんは、いちょうの木のまわりをぐるぐると回(まわ)ってにげます。それから木のそばをはなれ、すべり台(だい)のほうへむかおうとして、そこでよしろうにつかまりました。

 こうじくんは声(こえ)をたててわらっていました。

「こんどは、こうじくんがおいかけるばんだよ」と、よしろうはいいました。

「一、二、三、四、五(いち、に、さん、よん、ご)。よおし」

 こうじくんがおいかけてきます。よしろうは右(みぎ)にはしったり左(ひだり)にはしったりしてにげます。すべり台にのぼって、しゅうっとすべり、それからまたにげます。こうじくんもあきらめずにおいかけてきます。

 いちょうの木のまわりをぐるぐる回って、それから、にげだそうとしたとき、石(いし)につまずいて、よしろうはころんでしまいました。

「つーかまえたあ」と、こうじくんはよしろうのうでをぎゅっとつかみました。はあはあいいながら、こうじくんはわらいだしました。

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