「竹馬のあの子」   その6 おばあちゃんの夢

 おおきくなったシャボン玉(だま)はふうわりと風(かぜ)にのってとんでいきました。

 ふたりはつぎつぎにシャボン玉をふくらませました。ふたりのまわりにいくつもいくつもシャボン玉ができました。 イラスト

「ああ、おもしろかった」と女(おんな)の子(こ)はいいました。そして、「いかなくちゃ」というと、せっけん水(すい)のはいった小(こ)びんをたかしにわたし、ひらりと竹馬(たけうま)にのると、いつものように、すっすと歩(ある)いていってしまいました。

 おばあちゃんのうちにいくと、たみこおばさんも家(いえ)にいました。

 たかしは、クッキーをおばあちゃんにわたしました。

「いつも、ありがとうね」と、おばあちゃんはおれいをいいました。「おかげで、とってもよくなったわ」

 おばあちゃんはもうベッドにねてはいませんでした。窓(まど)べのいすにこしをかけていました。

「ほら」と、たかしは、あの子にもらったせっけん水のはいった小びんを見(み)せました。

「おばあちゃん、シャボン玉とばしたい?」

「おや、まあ」とおばあちゃんはいいました。

「わたし、子どものとき、シャボン玉がだいすきだったのよ。それに、さっき、うとうとしていたときに、シャボン玉をとばす夢(ゆめ)を見ていたの。ふしぎねえ」

 たかしは、麦(むぎ)わらをおばあちゃんにわたしました。

「なつかしいねえ、麦わらだなんて」

 そう言(い)うと、おばあちゃんは麦わらを石(せっ)けん水につけ、そうっと窓の外(そと)にむけてふきました。くるくるとシャボン玉が大きくなり、それからゆっくりと麦わらをはなれて飛(と)んでいきました。

「どうしたの、その石けん水」と、そばからたみこおばさんがききました。

 たかしは、竹馬にのった女の子の話(はなし)をしました。

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