つぎの日(ひ)、たかしはお母(かあ)さんに「おばあちゃんにイチゴをとどけてちょうだい」とたのまれました。
たかしは自転車(じてんしゃ)のかごにイチゴを入(い)れて、まえの日とおなじように自転車にのって坂(さか)をくだっていきました。
お好(この)み焼(や)きの「みの屋(や)」の角(かど)をまがると、また赤(あか)い水玉(みずたま)もようのワンピースを着(き)たあの子(こ)がいます。まえの日とおなじように竹馬(たけうま)にのっています。
「とりかえっこしよう」
また女(おんな)の子はいいました。
たかしは自転車からおり、女の子から竹馬を受(う)けとりました。たかしも竹馬にもう一度(いちど)のってみたいと思(おも)っていたのです。こんども一度ですっとのれました。竹をもった手(て)で調子(ちょうし)をとりながら、右左(みぎひだり)右左と足(あし)をだします。
「いい竹馬だねえ」とたかしはいいました。
「いい自転車ねえ。ずっとのってみたかったの」と、女の子はいいました。ほじょ輪(りん)つきの自転車をほめられたのははじめてです。
女の子はたかしの自転車にのると、うれしそうにこぎはじめました。
女の子は、おばあちゃんの家(いえ)を通(とお)りこしてずいぶん先(さき)までこいでいって、自転車をとめました。たかしがおいついてみると、女の子は神社(じんじゃ)の石段(いしだん)に腰(こし)をおろしています。そして、手さげから折(お)り紙(がみ)をとりだすと、三枚(さんまい)、たかしにくれました。
ふたりは折り紙をおりはじめました。でも、たかしがおれるのはだまし舟(ぶね)だけです。だまし舟を三(みっ)つおりました。女の子は、風船(ふうせん)とウサギとカエルをおりました。どれもおるのがむずかしいものばかりです。
「とりかえっこする?」
女の子は自分(じぶん)のおった風船とカエルとウサギをたかしにくれると、たかしのおっただまし舟をだいじそうに自分の手さげにいれました。手さげには、たけこ、と名前(なまえ)が書(か)いてありました。