いつもいく道(みち)です。坂(さか)をくだって、お好(この)み焼(や)きの「みの屋(や)」の角(かど)をまがるのです。たかしは、ごろごろと、ほじょ輪(りん)の音(おと)をさせながら、「みの屋」の角をまがりました。
すると、すぐ目(め)の前(まえ)に女(おんな)の子(こ)が立(た)っていました。ただ立っているのではなく、竹馬(たけうま)にのっています。
赤(あか)い水玉(みずたま)もようのワンピースを着(き)た女の子は、かるがると竹馬をあやつってぽくぽく、ぽくぽく歩(ある)いていきます。
たかしがゆっくりそばを通(とお)りすぎようとすると、たかしの自転車(じてんしゃ)のスピードにあわせるようについてきます。目(め)の下(した)にほくろがある女の子はにこにこわらっていました。
たかしは自転車をとめました。
女の子も竹馬からおりました。
「ねえ」と女の子はたかしにいいました。
「ちょっとでいいから、あなたのその自転車にのせてくれない?」
たかしと同(おな)じくらいの年(とし)の子です。
「いいよ」と、たかしはいって、自転車をおりました。
「じゃ、あなたは、これにのるといいわ」と、女の子は竹馬をたかしにわたしました。
たかしは竹馬なんて、これまで一度(いちど)ものったことはありません。とってもむずかしそうです。
しぶしぶ竹馬を受(う)けとると、両手(りょうて)で竹馬をしっかりもって、まず片方(かたほう)の足(あし)を足のせにのせました。それからもう片方の足もひょいとのせました。ぐらりと大(おお)きくゆれました。けれども、たおれたりはしませんでした。ふしぎなことに、のったことのない竹馬にいっぺんでのることができたのです。と同時(どうじ)に、一歩(いっぽ)二歩(にほ)と前(まえ)に歩きだしていました。
スポーツ公園(こうえん)の丸太(まるた)わたりだってできないたかしなのに、竹馬にのってぽくぽくと歩くことができます。きゅうに背(せ)が高(たか)くなったような気(き)がして、なんだかうれしくなって、わらえてきました。
つづきはらいしゅう