「よおし」
たかしくんは羽根(はね)をなげあげると、ラケットでおもいきり打(う)ちました。羽根はびゅうっとブランコのうしろのほうにとんでいきました。
おちたところは草(くさ)むらの中(なか)でした。
「ごめん、ごめん」と、たかしくんはいいました。
まりは草をかきわけて羽根をさがしました。
すぐに見(み)つかるとおもったのに、羽根は見あたりません。
「へんねえ」
「へんだねえ」。たかしくんもいっしょに草むらをさがしています。
まりは立ちあがってあたりぐるりと見まわしました。どこにもあの白(しろ)い羽根は見あたりません。
「こうしよう。ぼくがブランコのこっち側(がわ)をさがすから、まりちゃんはあっち側をさがしてよ」とたかしくんはいいました。
「いいよ」と、まりは返事(へんじ)しました。
まりはまたしゃがみこむと、さっきよりもていねいに草をかきわけはじめました。羽根はきっとどこかにあるはずです。
まりはむちゅうで草をかきわけていきました。
「あった?」と、たかしくんに声(こえ)をかけてみると、「見つからないよ」と、たかしくんの声が返(かえ)ってきました。
それにしても、公園(こうえん)はこんなにひろかったっけ。ふしぎにおもって、まりは草をかきわける手をとめて、公園をふりかえりました。
いつのまにか日(ひ)がおちて、すっかり暗(くら)くなっていました。
「たかしくん」と、まりはよびました。
返事はありません。目(め)をこらしてみても、どこにもたかしくんのすがたは見あたりません。
まりは、きゅうにさみしい気持(きも)ちになりました。