おし入(い)れの中(なか)にはおふとんはなく、そのかわり、下(した)にむかって、階段(かいだん)がのびています。
いつのまにこんなところに階段ができたのでしょう。ふしぎにおもいながら、まりは階段をおりていきました。
下までおりると、そこにドアがありました。まりはドアをあけました。
白(しろ)い地面(じめん)のむこうのほうにブランコが見(み)えています。それからすべり台(だい)もあります。みどりの木(き)が立(た)っていて草(くさ)むらがひろがっています。公園(こうえん)のようです。一歩(いっぽ)二歩(にほ)とまりは公園に出(で)ていって、それからすぐに、なあんだとおもいました。まりの家(いえ)の近(ちか)くの、じどう公園だったのです。
「まりちゃん、あそぼ」と、そのとき声(こえ)がしました。
ふりかえると、たかしくんが立っていました。たかしくんは、まりとおなじマンションに住(す)んでいます。
「バドミントンしようよ」。たかしくんは手(て)にもったラケットを見せました。
「いいよ」
まりはラケットを一(ひと)つ受(う)けとりました。
たかしくんが、ぽおんと羽根(はね)を打(う)ちます。まりはいっしょうけんめい羽根をおいかけて、羽根が地面におちるまえに、ぽおんと打ちかえしました。
くふふ。なんだか、わらえてきました。
たかしくんがまたぽおんと、羽根を打ちます。羽根はぴゅうっととんできます。まりはラケットで打ちかえしましたが、からぶりでした。羽根はぽとんと地面におちました。
「こんどは、あたしが打つよ」
まりは羽根をおもいきり打ちました。たかしくんはすばやくうごいて、羽根の下に入ると、ラケットを大(おお)きくふりあげ、それから「えいっ」と声をあげてラケットをふりおろしました。からぶりでした。
まりは「あはは」と声をあげてわらいました。