おねえちゃんはどこにいるのか、耳(みみ)をすましてみても、なんのもの音(おと)もしません。
ピンポーン
げんかんのチャイムがなりました。おねえちゃんが出(で)ていくけはいはありません。
ピンポーン
またチャイムがなりました。まりはテーブルの下(した)でじっとしています。
「まりちゃん、あそぼ」という声(こえ)もします。
まりは、それでもじっとしていました。いま出ていったら、おねえちゃんにまたわらわれそうな気(き)がしたからです。
もうチャイムはなりません。声もしません。家(いえ)はふたたびしんとしずまり返(かえ)りました。おねえちゃんはいったいどこにいるのでしょう。
まりはだんだん気がかりになってきました。おねえちゃんもどこかにかくれているのでしょうか。
まりはそっとテーブルの下からはい出(だ)しました。
まず表(おもて)のへやに行(い)ってみました。おねえちゃんはいません。べんきょうべやをのぞいてみても、おねえちゃんはいません。奥(おく)のへやにも、テレビのある居間(いま)にも、おねえちゃんはいないのです。
「ははん」と、まりはおもいました。そしてトイレのドアをあけました。だれもいません。あとはおふろ場(ば)だけです。まりはおふろ場の戸(と)をあけました。やっぱりだれもいませんでした。
おねえちゃんがきえてしまったのです。
「おねえちゃん」まりはよんでみました。
返事(へんじ)はありません。おねえちゃんはどこにいってしまったのでしょう。
まりは、また奥のへやに行きました。奥のへやのおし入(い)れにはおふとんが入(はい)っていて、そのおふとんの上(うえ)にあがって、あそんだことがあったのをおもいだしたからです。まりはおし入れをあけました。
「あ」と、まりは声をあげました。