「ホットケーキの日」   その4 きえた おねえちゃん

 おねえちゃんはどこにいるのか、耳(みみ)をすましてみても、なんのもの音(おと)もしません。

 ピンポーン

 げんかんのチャイムがなりました。おねえちゃんが出(で)ていくけはいはありません。 イラスト

 ピンポーン

 またチャイムがなりました。まりはテーブルの下(した)でじっとしています。

 「まりちゃん、あそぼ」という声(こえ)もします。

 まりは、それでもじっとしていました。いま出ていったら、おねえちゃんにまたわらわれそうな気(き)がしたからです。

 もうチャイムはなりません。声もしません。家(いえ)はふたたびしんとしずまり返(かえ)りました。おねえちゃんはいったいどこにいるのでしょう。

 まりはだんだん気がかりになってきました。おねえちゃんもどこかにかくれているのでしょうか。

 まりはそっとテーブルの下からはい出(だ)しました。

 まず表(おもて)のへやに行(い)ってみました。おねえちゃんはいません。べんきょうべやをのぞいてみても、おねえちゃんはいません。奥(おく)のへやにも、テレビのある居間(いま)にも、おねえちゃんはいないのです。

 「ははん」と、まりはおもいました。そしてトイレのドアをあけました。だれもいません。あとはおふろ場(ば)だけです。まりはおふろ場の戸(と)をあけました。やっぱりだれもいませんでした。

 おねえちゃんがきえてしまったのです。

 「おねえちゃん」まりはよんでみました。

 返事(へんじ)はありません。おねえちゃんはどこにいってしまったのでしょう。

 まりは、また奥のへやに行きました。奥のへやのおし入(い)れにはおふとんが入(はい)っていて、そのおふとんの上(うえ)にあがって、あそんだことがあったのをおもいだしたからです。まりはおし入れをあけました。

 「あ」と、まりは声をあげました。

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