まりは、おねえちゃんがやったとおり、フライパンに油(あぶら)を少(すこ)し入(い)れ、それからタネをいっぱい流(なが)しこみました。まりは、大(おお)きい、おねえちゃんのホットケーキよりもずっと大きいホットケーキがやきたいのです。
じっと見(み)つめていると、穴(あな)がぽつぽつとあいてきました。まりはフライ返(がえ)しをつかって、ひっくり返(かえ)すことにしました。
「えい」
ホットケーキを返したつもりが、半分(はんぶん)、フライパンの外(そと)にはみ出(で)てしまいました。白(しろ)いタネがとびちって、まりのセーターのそで口(ぐち)にぺちゃりとくっつきました。
おねえちゃんがくすくすわらっています。
まりはフライパンのふちにくっついたホットケーキをフライ返しでフライパンのまん中(なか)におしもどしました。ホットケーキはぐしゃりとつぶれた形(かたち)になりました。
おねえちゃんはテーブルにお皿(さら)を用意(ようい)してくれました。ハチミツとバターもならべています。
フライパンからこうばしいにおいがしてきました。うっすら、けむりものぼっています。「やけたよ」と、まりはいいました。そして、フライパンをお皿のところまではこび、ホットケーキをお皿にうつしました。
ホットケーキはこげてしまっていました。きっと火(ひ)が強(つよ)すぎたのです。
「うわ、まっくろだ」
おねえちゃんはそういうと、げらげらわらいだしました。
「ハチミツをぬったら、あまくなるかもしれないよ」そういいながら、わらいつづけます。
「いらない。あたし、たべない」と、まりはいいました。
「こげてないところもあるよ」と、おねえちゃんはいいました。
「いらない、たべたくない」なきそうになりながらそういうと、まりはテーブルの下(した)にもぐりこみました。