「ホットケーキの日」   その2 ひっくり返そう

 まりは、おねえちゃんがやったとおり、フライパンに油(あぶら)を少(すこ)し入(い)れ、それからタネをいっぱい流(なが)しこみました。まりは、大(おお)きい、おねえちゃんのホットケーキよりもずっと大きいホットケーキがやきたいのです。 イラスト

 じっと見(み)つめていると、穴(あな)がぽつぽつとあいてきました。まりはフライ返(がえ)しをつかって、ひっくり返(かえ)すことにしました。

 「えい」

 ホットケーキを返したつもりが、半分(はんぶん)、フライパンの外(そと)にはみ出(で)てしまいました。白(しろ)いタネがとびちって、まりのセーターのそで口(ぐち)にぺちゃりとくっつきました。

 おねえちゃんがくすくすわらっています。

 まりはフライパンのふちにくっついたホットケーキをフライ返しでフライパンのまん中(なか)におしもどしました。ホットケーキはぐしゃりとつぶれた形(かたち)になりました。

 おねえちゃんはテーブルにお皿(さら)を用意(ようい)してくれました。ハチミツとバターもならべています。

 フライパンからこうばしいにおいがしてきました。うっすら、けむりものぼっています。「やけたよ」と、まりはいいました。そして、フライパンをお皿のところまではこび、ホットケーキをお皿にうつしました。

 ホットケーキはこげてしまっていました。きっと火(ひ)が強(つよ)すぎたのです。

 「うわ、まっくろだ」

 おねえちゃんはそういうと、げらげらわらいだしました。

 「ハチミツをぬったら、あまくなるかもしれないよ」そういいながら、わらいつづけます。

 「いらない。あたし、たべない」と、まりはいいました。

 「こげてないところもあるよ」と、おねえちゃんはいいました。

 「いらない、たべたくない」なきそうになりながらそういうと、まりはテーブルの下(した)にもぐりこみました。

まえのページ ひょうしのページ つづきのページ