「ホットケーキの日」   その1 あたしがやくからね

 ふたりでおるすばんをしているとき、「ホットケーキをやこうか」といいだしたのは、おねえちゃんでした。 イラスト

 「でもね、まりちゃんはちっちゃいから、ちょっとむりかな」とおねえちゃんはつづけていいました。

 「ううん。あたし、できるよ」と、くやしくなって、まりはいいました。「かんたんだもん」

 それを聞(き)くと、おねえちゃんはくふんとわらいました。

 おねえちゃんはボウルと、ホットケーキの粉(こな)、それからミルクとたまごを用意(ようい)しました。

 ボウルの中(なか)に粉とミルクとたまごを入れると、まりにボウルをもたせておいて、おねえちゃんはぐるぐるとかきまぜます。どろりとしたホットケーキのタネができあがりました。

 それからフライパンを取(と)りだし、ガスレンジにのせると、火(ひ)をつけました。青(あお)いガスのほのおが、いっせいにもえはじめました。

 おねえちゃんはフライパンにタネを流(なが)し入(い)れます。なんだかとってもなれた手つき。まりは、おねえちゃんのすることをじっとかんさつしていました。

 やがてホットケーキのやけるいいにおいがしてきました。おねえちゃんはフライ返(がえ)しでじょうずにホットケーキをひっくり返(かえ)します。こんがりいい色(いろ)にやけています。

 「あたしのは、あたしがやくからね」と、まりはいいました。

 「ほんとにできるの?」

 「できるもん」

 ちゃんと、おねえちゃんのやくところを見(み)ていたのです。まりには自信(じしん)がありました。

 おねえちゃんのホットケーキがやきあがりました。

 「じゃあ、まりのばんよ」

 おねえちゃんがフライパンを火にかけてくれました。

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