「おむすびガツ〜ン」   その6 みそをつけて あぶって

 おじいさんとサルとネズミとカニと二わのカモは、大(おお)きなかたいおむすびを持(も)ってうちに帰(かえ)りました。

「おかえりなさい」

 おばあさんがでむかえて言(い)いました。

「畑(はたけ)仕事(しごと)は、はかどりましたか」 イラスト

「そっちは、おれが、かたづけた」

 サルがむねをはって答(こた)えました。

「じゃが、おむすびがかたすぎて、とても歯(は)がたたんのじゃよ」

 おじいさんが、そっとおむすびをさしだしました。

「あら、まあ」

 おばあさんは、首(くび)をかしげて、

「そんなにかたくにぎったつもりはないのだけれど」

とおじいさんからおむすびを受(う)け取(と)って、えいっと声(こえ)をあげました。

 するとおむすびは、ぱこんと二(ふた)つにわれました。

「みそをつけて焼(や)きましょうか」

 おばあさんはおむすびにみそをぬって、いろりの火(ひ)であぶりはじめました。

 まもなくうちじゅうにおむすびを焼(や)くいいにおいがしてきました。

 おじいさんとサルとネズミとカニと二(に)わのカモは、いろりをかこんですわって待(ま)っていました。

 みそはぷすぷす、おむすびの上(うえ)で音(おと)をたてています。

 みんながおばあさんの手(て)もとをじっと見(み)ていると、おばあさんは「あちちちちっち」と言いながら、おむすびをわってくばってくれました。

 しばらくのあいだ、みんなは目(め)をぱちぱちさせていました。

「さめないうちに、めしあがれ」

 えがおで、おばあさんがすすめました。

 おじいさんがそっと口(くち)に入(い)れました。サルもちょっとかじってみました。ネズミもカニも二わのカモも、えんりょがちにおむすびのはしっこをおさえてみました。

 おむすびは、ガツ〜ン

 いいえ、ふわふわとこうばしく焼けていましたとさ。

おしまい

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