おじいさんとサルとネズミとカニと二わのカモは、大(おお)きなかたいおむすびを持(も)ってうちに帰(かえ)りました。
「おかえりなさい」
おばあさんがでむかえて言(い)いました。
「畑(はたけ)仕事(しごと)は、はかどりましたか」
「そっちは、おれが、かたづけた」
サルがむねをはって答(こた)えました。
「じゃが、おむすびがかたすぎて、とても歯(は)がたたんのじゃよ」
おじいさんが、そっとおむすびをさしだしました。
「あら、まあ」
おばあさんは、首(くび)をかしげて、
「そんなにかたくにぎったつもりはないのだけれど」
とおじいさんからおむすびを受(う)け取(と)って、えいっと声(こえ)をあげました。
するとおむすびは、ぱこんと二(ふた)つにわれました。
「みそをつけて焼(や)きましょうか」
おばあさんはおむすびにみそをぬって、いろりの火(ひ)であぶりはじめました。
まもなくうちじゅうにおむすびを焼(や)くいいにおいがしてきました。
おじいさんとサルとネズミとカニと二(に)わのカモは、いろりをかこんですわって待(ま)っていました。
みそはぷすぷす、おむすびの上(うえ)で音(おと)をたてています。
みんながおばあさんの手(て)もとをじっと見(み)ていると、おばあさんは「あちちちちっち」と言いながら、おむすびをわってくばってくれました。
しばらくのあいだ、みんなは目(め)をぱちぱちさせていました。
「さめないうちに、めしあがれ」
えがおで、おばあさんがすすめました。
おじいさんがそっと口(くち)に入(い)れました。サルもちょっとかじってみました。ネズミもカニも二わのカモも、えんりょがちにおむすびのはしっこをおさえてみました。
おむすびは、ガツ〜ン、
いいえ、ふわふわとこうばしく焼けていましたとさ。
おしまい