「なんのカギ?」   その5 たのしくペンキぬり

 「もしかするとトランクのカギかもしれないな。でも、ためしてみなくちゃわからない」と、クマはいいました。

 クマは白いトランクをもってくると、カギ穴(あな)にカギをさしこもうとしました。でも、トランクのカギでもありませんでした。 イラスト

 トランクをあけると、中には赤い大きいまくらが入っていました。クマが眠(ねむ)るのにちょうどよさそうなまくらです。

 「あ」とクマは声(こえ)をだし、あわててトランクのふたをしめました。それから「ハクション」と大きなくしゃみをしました。

 へやはとっても冷(ひ)えていました。えりなの手と足も冷(つめ)たくなっていました。

 「じゃあいったい、このカギはなんのカギ?」と、えりなはふるえながらいいました。

 「もしかすると道具箱(どうぐばこ)のカギかもしれないぞ。でも、ためしてみなくちゃわからない」と、クマはいいました。

 クマは白い大きい道具箱をつーいとすべってはこんできました。そしてカギ穴にカギをさしこみぐるりと回(まわ)すと、かちゃりとカギのあく音がしました。

 「このカギだったんだ。道具箱はずっとカギがかかったままになってたんだ」

 「よかったね」と、えりなはうれしくなっていいました。

 道具箱の中にはペンキの缶(かん)がずらりならんでいました。いろんな色(いろ)のペンキがあります。

 クマはしばらく考(かんが)えていました。それから「ぬってみたいな」といいました。

 「手伝(てつだ)ってあげる」と、えりなはいいました。

 ふたりは道具箱に青いペンキをぬりました。とってもきれいな空色の道具箱になりました。「ほかのものにもぬろうか」と、クマははりきっていいました。

 ふたりは、テーブルといすにピンクのペンキをぬりました。宝石箱(ほうせきばこ)は赤くぬりました。

 戸棚(とだな)は緑(みどり)色に、ピアノは黄(き)色にぬりました。もうたのしくてやめられません。

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