「もしかするとトランクのカギかもしれないな。でも、ためしてみなくちゃわからない」と、クマはいいました。
クマは白いトランクをもってくると、カギ穴(あな)にカギをさしこもうとしました。でも、トランクのカギでもありませんでした。
トランクをあけると、中には赤い大きいまくらが入っていました。クマが眠(ねむ)るのにちょうどよさそうなまくらです。
「あ」とクマは声(こえ)をだし、あわててトランクのふたをしめました。それから「ハクション」と大きなくしゃみをしました。
へやはとっても冷(ひ)えていました。えりなの手と足も冷(つめ)たくなっていました。
「じゃあいったい、このカギはなんのカギ?」と、えりなはふるえながらいいました。
「もしかすると道具箱(どうぐばこ)のカギかもしれないぞ。でも、ためしてみなくちゃわからない」と、クマはいいました。
クマは白い大きい道具箱をつーいとすべってはこんできました。そしてカギ穴にカギをさしこみぐるりと回(まわ)すと、かちゃりとカギのあく音がしました。
「このカギだったんだ。道具箱はずっとカギがかかったままになってたんだ」
「よかったね」と、えりなはうれしくなっていいました。
道具箱の中にはペンキの缶(かん)がずらりならんでいました。いろんな色(いろ)のペンキがあります。
クマはしばらく考(かんが)えていました。それから「ぬってみたいな」といいました。
「手伝(てつだ)ってあげる」と、えりなはいいました。
ふたりは道具箱に青いペンキをぬりました。とってもきれいな空色の道具箱になりました。「ほかのものにもぬろうか」と、クマははりきっていいました。
ふたりは、テーブルといすにピンクのペンキをぬりました。宝石箱(ほうせきばこ)は赤くぬりました。
戸棚(とだな)は緑(みどり)色に、ピアノは黄(き)色にぬりました。もうたのしくてやめられません。