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  その1 なぞなぞ出前いたします
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 学校から帰り道。紙が一枚、まおくんをからかうように、目の前をひらひらとんだ。「なんだい、こいつ」とつかまえたら、その紙にはこう書いてあった。
  「なぞなぞ屋。なぞなぞ出前いたします。一コ百円」
  うちに帰るとまおくんは、さっそくなぞなぞ屋に電話した。
 「はいはいこちらなぞなぞ屋。お電話ありがとございます」と、コロコロした声が返ってきた。
 「あの、なぞなぞひとつ、お願いします」
 「どのようなのにいたしましょうか」
 「う〜ん、じゃ、あんまりむずかしくないのをひとつ」
 「はいはい、しょうちいたしました」
  まおくんが名前も住所も言わないのに、電話はガチャンと切れた。そのとたん、玄関のチャイムが鳴った。
 「だれかな」
  まおくんが出てみると、ピザの宅配のお兄さんだった。
 「あの、うちはピザたのんでないですけど」
 「ピザ屋ではありません。なぞなぞ屋です」
 「すごい。早い!」
 「それがうちのモットー。さて問題です。生まれたときは四本足、次は二本足、最後は三本足の動物…」
  それならまおくんは知っていた。答えは人間だ。赤ん坊は、はいはいするから四本足。それから二本足で立って歩き、年をとるとつえをつくから三本足。
  まおくんが「人間」といおうとしたら、お兄さんはそのまえに、「それは人間ですが」と続けた。これは問題ではなかったらしい。
 「では、生まれたときは足がない。次に二本足、最後は四本足。さあ、なあんだっ」
 「ううん」
  まおくんはうでぐみして考えた。
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