その2 ふるぎ屋さん
かやねずみのちいねずちゃんが、森をあるいていると、大きなぶなの木のかげから、へんなうたが、きこえてきました。
「♪ふふふのふるぎや、へへへの、ほほほ♪」
「いったい、なんだろ」
ちいねずちゃんが、ぶなの木のうらがわをのぞいてみると、きつねのこんこが、ちいさいおみせをだしていました。
こんこは、ちいねずちゃんをみつけると、あわてて、
「あら、まだ、じゅんび中ですよう」といいました。
「じゅんび中でも、なんのおみせ?」
ちいねずちゃんがたずねると、こんこは、はずかしそうに、
「ふるぎや。ほら」
といって台の上のしなものをひろげてみせてくれました。
「これが、せみ。これは、へび。それから、これは、ざりがにの。これは、かたつむりの」
どうやら、お店のしなものは、ぜんぶ、森に住むいろんな虫たちの、ぬけがらみたいです。
「これ、みんな、ぬぎすててあったのをわたしが、森であつめたの。ほら、まだじゅうぶん、きられそうでしょう。リサイクル、リサイクル」
こんこは、むねをはりました。
ちいねずちゃんは、一まい、かうことにしました。
「いもむしのぬけがらは、あったかいぼうしになるし、へびのは、くびにまくと、えりまきにいいでしょ。すずむしのはねは、うちわ。これ、ふれば、風もくるし、いい音がするのよ」
ちいねずちゃんは、いもむしのぬけがらをかいました。
なるほど、ほんとに、いもむしのぬけがらは、こんこがいうとおり、ぼうしにぴったり。
かぶると、ふんわりあたたかで、なんだか、いつのまにか、いねむりしそうです。
でも、ふしぎなことに、ちいねずちゃんは、そのぼうしをかぶっているあいだじゅう、なんだかむしょうに、レタスやらキャベツやら、はっぱばかりたべたくなるのでした。
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