(5)森のお茶会の巻
ぬれ羽色カラスが、森のなかまにお茶会のことをしらせました。
シカや野ネズミやサルやイノシシたちがぞくぞくとあつまってきま
す。
ウサギのかあさんは、みんなのからだの大きさにあわせてケーキ
を切ってあげました。
「わたしがつくったケーキです。うえにのっけるものは、みなさん
のおすきにどうぞ」
子ウサギのミーリはチョコレートを、リーナはいちごを、ひとき
れのケーキのうえにかざりつけました。
大クマのおじさんは、ぱらぱらと木の実をふりかけています。シ
カは野ぶどうを、ミツバチははちみつをトッピングしました。
飲みものはコーヒー、紅茶、ハーブティーにウーロン茶。みんな
おこのみのままです。もちろん番茶もあります。
あちこちで、ケーキのあじききもしています。
「あら、これもおいしいわね」
「ぼくのもたべてみてよ。これもいがいとおいしいよ」
「したのケーキはおなじなのに、のっけるものでかたちもあじもこ
んなにちがってくるなんておもいもよらなかったよね。どれもすて
きだよね」
やがて、茶ぱつタヌキがたいこをたたきはじめました。
小鳥たち
がうたいます。チョウチョウがそれにあわせておどりました。
「たまにはお茶会もいいなあ」
イノシシ一族が、まんぞくそうに目を細めています。
「つぎのときはケーキの材料をおとどけしましょう」
「ケーキづくりのおてつだいもよろしくね」
サルのおじさんとウサギのかあさんが、はなしています。
テーブルのまんなかには、ぬれ羽色カラスが色ガラスでかざりつ
けたケーキがひときれおいてありました。
さて、金ぱつキツネは、白いクリームのケーキのうえにしょうゆ
とさとうであまがらくにつけた特大の油あげをのっけたとか、のっ
けなかったとか……。
(おわり)
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