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「いいお産 考」

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 第1部 産む人たちの思い

読者の声から
− 新たな命の重み実感 −

 一日にスタートした「いいお産考」の特集と連載第一部「産む人たちの思い」に、読者から三十四通のメールやファクスが寄せられた。うち八割近い二十六通は、出産の体験談で、新たな命を迎える喜びや、病院で受けた嫌な対応など、それぞれの思いがつづられていた。声の一部を紹介する。(平井敦子)

産まれてきてありがとう/気持ちよかった


  遠方通院ヒヤヒヤ/スタッフに嫌な気持ち

 連載第一部の初回は、身近な地域で産みたいと願う離島や中山間地域の人たちが登場した。同じ思いを持つ瀬戸内海の離島、愛媛県上島町の岩城島の女性(31)から届いた体験談も、切実だった。

 「自宅から一番近かった病院の産科が廃止になり、生後三カ月の二男は、自宅と府中市の実家の中間点にある尾道市内の病院で産みました。医師の勧めもあり、予定日の一カ月前から実家で過ごしましたが、実家から病院まで一時間以上かかるため、いつお産が始まるかとヒヤヒヤ。『遠方なので、陣痛促進剤を使うことも考えてください』と言われ、臨月になると健診のたびに、入院用の荷物を持って、実家と病院を往復しました。離島から遠方の病院に通う精神的、肉体的負担は消えません。都会のようないろいろなお産の選択の余地もありません」

 連載三回目では、出産直後に母親が子どもを胸に抱き、肌と肌を触れ合わせて過ごす「カンガルーケア」の試みを紹介した。三原市で昨年十月に初めて出産した介護職の女性(26)のメールには、産んだ日に子どもと対面した感動を忘れまいと、携帯電話に残した詩がしたためられていた。

 「産まれてすぐのあなたを胸に抱きました。あったかくて重い。それは命の重み。親になった責任の重み。私たちのところへ産まれてきてくれてありがとう。大切に大切に育てます」

 約一年前に出産した三次市の主婦(31)は「お産は幸せで楽しかったけど、不満な点もありました。娘が生まれてすぐ、『カンガルーケア』として胸に乗せてもらえましたが、ほんの一瞬だけ。もっとゆったり、できれば産後ずっとくっついていたかった。医療側の事情が優先されることって、たくさんありますよね」。一方で、「分娩(ぶんべん)台について不評な意見が多いですが私は気になりませんでした。クラシックをBGMに、後ろから夫に体を支えてもらって、大満足のお産でしたよ」ともつづる。

 お産の気持ちよさをストレートに伝えるメールも届いた。昨年十二月初めに三人目を出産した三次市の女性(31)は「今回、初めて出産が気持ちいいと思えました。二回息むとつるりんと出てきてくれました。出産は鼻からスイカが出てくるくらい痛いと聞きますが、今回は、滑り台から巨大なプリンがツルンと滑り落ちてきた感覚でした。三回ともすべて素晴らしいお産でしたが、出産が痛いだけでなく、気持ちいいものだと知り、女として本当によい経験をさせてもらえた」。

 喜びの声の半面、介助する人の言葉に傷ついた人もいた。廿日市市の主婦(45)は「つらかったのは産院スタッフの心ない言葉です。初めてのお産は不安と緊張、恐怖でいっぱいになるのに、『あーまた夜中になるのかよー』とか、『そんなに痛いの?』とか、お産が済んだ途端、分娩台に寝てる私の横で同僚と『食事に行こうや』という会話。本当に嫌な気持ちになりました」。

 連載七回目のテーマは、医師や助産師と妊婦の信頼関係。信頼を築くツールとして出産計画書にあたる「バースプラン」を取り上げた。助産師として病院に八年勤務し、昨年九月に産休に入った広島市安佐南区の女性(30)は、こう指摘する。

 「東京都内の病院で働いていたときは、バースプランを聞いてもたくさんの要望がありました。広島のお母さんは『先生、病院に任せます』『赤ちゃんが元気なら…』とあまりに受け身すぎると感じることが多かった。一生に数回しかないお産の場面を、おかあさんたちはもっと調べ、知って選ぶことが大切。選ばれるようになれば、医療施設も改善策を立て、競争し、いいお産に近づく気がします」

 中区の病院で出産した女性(30)は「同じ病院で二人産みました。一人目は病院に言われるまま産む感じでしたが、出産について学び、心構えが変わった二人目は、自分で産んだという満足のいくものになった」との体験を披露。いいお産を目指し、産む人が学ぶことの大切さを強調していた。

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読者からは「お産のリスクをもっと知らせてほしい」など、さまざまな意見が寄せられた。三通のメールが届いた「帝王切開」については、二月に特集する予定です。

2007.1.22