市教委・学校へ募る不信 調査委大詰め 問われる姿勢 廿日市市の市立中学3年の女子生徒(14)が5月に亡くなった問題で、市教委の調査委員会は19日、8回目の会合を開く。これまでに部活動などでのいじめを確認しており、今後は死亡との因果関係の解明が焦点となる。市教委や学校の対応に不信感を募らせる保護者もおり、調査委は最終報告に向けて、真相を明らかにしていく強い姿勢が求められる。 外部の有識者を交えた調査委は、市教委トップの奥典道教育長が委員長に就く異例の形で始まった。調査委はこれまで計7回の会合で、学校や市教委が実施した生徒へのアンケート、教職員や遺族からの聴取記録などを分析。女子生徒が2年生だった昨夏以降、部活動で他の生徒に「気持ち悪い」などと言われ、帰り道で仲間外れにされたことなどを確認した。 ただ、いじめの特定などに必要な資料が当初から整っていたわけではなかった。遺族が提供した女子生徒の手書きメモ2枚が、市教委担当者のミスで調査委に提出するのが8月19日にあった6回目の会合まで約3カ月遅れた。このため、遺族は市教委との連携に不安を抱き、5月下旬に自宅で見つかっていた「遺書」と書かれた女子生徒のノートなどの提出判断が遅れた。 「遺書」の内容の分析に追加で時間が必要となり、結果として調査委の最終報告の時期が9月中から10月中旬に遅れる事態を招いた。 市教委によると、調査委が非公開であることなどから、8月下旬に学校であった保護者説明会では「議論の状況が伝わらない」との声も上がったという。 こうした中、目撃情報を教員に伝えた生徒の保護者宅に学校側が電話し、「口止め」と受け取られたケースも発覚した。奥教育長は今月11日の市議会一般質問で「保護者に不信感を与えた。誠実な対応に努める」と答弁した。 遺族には「いじめは娘の死に大きく関わったのではないか。真相を明らかにしてほしい」との思いが募る。死に至った原因や責任の所在、学校と保護者の信頼関係の回復―。今後の調査委は10月中旬までに3回程度を予定する。結論を導き出す時間は限られている。(村上和生) (2013.9.18)
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