広島県内、同世代平均の2・7−3・2倍 虐待や非行などで広島県内の一時保護施設に入所している子どもたちは、未治療の虫歯の割合が、同世代の県平均に比べ2・7〜3・2倍であることが、県内の歯科医師たちの調査で分かった。歯の衛生について保護者の知識不足や生活環境の悪化が原因とみられる。 ▽保護者の知識不足映す 県歯科医師会や県などでつくる県歯科衛生連絡協議会の依頼で、広島大大学院の香西克之教授(小児歯科学)たちが一時保護施設で歯科検診を実施。2009年7月から昨年9月にかけて県内の2カ所で、入所していた幼児(5歳以下)、小学生、中高生計493人を調べた。 入所理由は虐待244人、非行や親の病気など非虐待249人。 虐待が理由で入所した幼児は、未治療の歯の割合が49・3%で、県平均18・5%の2・7倍。小学生は74・6%、中高生は62・3%で、県平均の24・4%、21・1%に比べ、3・1、3・0倍だった。 非虐待で入所した幼児、小学生、中高生では未治療の歯の割合は県平均の3・2、3・1、3・2倍だった。 治療済みの歯の割合は、一時保護施設の子どもは全ての年齢で県平均を下回っていた。 虫歯が多く治療されていない状態は、保護者の知識不足やネグレクト(養育放棄)を反映しているという。 香西教授は「虫歯が多い上、放置されている場合、全て虐待とはいえないが、口の衛生状態が悪い子どもには虐待のケースが含まれており、歯科医療従事者はその子や親の様子に注意する必要がある」と指摘している。(編集委員・串信考) (2013.7.16)
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