中国新聞


部室をプレハブで耐震化
広島県立26高校、月内に新築完了


   

photo
プレハブ工法で新築工事が進む安古市高の部室棟

 広島県立高校でクラブ活動に使う部室の耐震化が、2012年度末で完了する。住宅建設で広く使われ、短期間で完成するプレハブ工法で新築することで、26校31棟の耐震化を当初の計画より2年早く実現。費用も半分で済み、約8億円を節約できる。県教委によると、プレハブ工法で耐震化を進めるのは珍しい。

 国の耐震基準に満たない部室は1964〜81年に建てられ、震度6強の地震で倒壊の恐れがあった。古い部室を解体し、建て替える工事は12年11月の入札で決まった住宅メーカーなど5社が進め、今月中に終了する。

 解体費を含む事業費は8億2400万円。部室の耐震化は当初、県営繕課が学校ごとに設計し、建設会社が補強工事をする計画で、16億1900万円の事業費を見込んでいた。工法変更で7億9500万円を削減でき、完了時期も14年度末から2年早まる。

 見直しのきっかけは11年3月の東日本大震災。同年4月1日現在の県の公立高校の耐震化率は58・4%と都道府県でワースト2だった。このため県は同6月、県立学校の耐震化を終える目標を27年度末から15年度末に12年前倒しした。

 目標達成に向け、財源確保や工期短縮を検討する中、工場で生産する軽量鉄骨などの部材を使い、短期間で安価に建築できるプレハブ工法が浮上。学校ごとに設計する必要がある校舎や体育館への採用を見送る一方、小規模で複雑な設計を必要としない部室棟の工法に導入した。

 146棟ある部室棟の耐震化完了で、県立学校の全建物の耐震化率は3%上昇。11年度末で64・2%だった耐震化率は建て替えや補強工事を進めた校舎などと合わせ、12年度末で75%を上回る見通しという。

 県教委施設課は「プレハブ工法は耐震性にも優れ、生徒が安全に快適に使える。一気に耐震化できる意義は大きい」と話している。(衣川圭)

(2013.3.7)


【関連記事】
建て替え一転、補強で確保 県立校の36棟で耐震化 (2012.11.23)
広島県立学校の耐震化 15年度末までに前倒し (2011.6.7)



子育てのページTOPへ