聴覚障害の子どもサポート 広島県は2013年度、聴覚障害がある子どもの補聴器の購入費を補助する制度を設ける。言葉の習得に必要だとして聴覚障害者団体が導入を要望していたが、中国地方の5県と2政令都市では広島県だけに制度がなかった。14日発表した13年度当初予算案に経費200万円を盛り込んだ。 補助制度は広島市を除く県内22市町に暮らし、通常の話し声が聞き取りにくい中程度から、ささやき声が聞き取りづらい軽度までの障害がある高校生以下の子どもが対象。補聴器を購入したり買い替えたりした際、費用の3分の2を県と市町が折半して補助する。 補聴器1台の価格は機能に応じ、5万円前後から40万円台にわたる。県は13年度の利用者を約30人と見込んでいる。市町の福祉担当課で申請を受け付ける。 難聴は言葉の習得の遅れにつながる恐れがあり、学校でも授業の聞き取りや友人との会話に支障が出る。一方、国には40センチ離れた会話が聞こえないなどの重度の障害があり、身体障害者手帳を持つ人を対象にした支援制度しかない。 聴覚障害者団体が県に独自の補助制度を要望していたが、県は「国が全国一律の制度を導入すべきだ」として見送っていた。県障害者支援課は「国へ制度創設を要望してきたが実現が望めず、制度化に踏み切った。中国地方の他の自治体が導入して支援に格差が出ていることも勘案した」と説明する。 広島県難聴者・中途失聴者団体連合会の藤川修次会長は「補聴器は言葉の習得に必要だが、高価で親の負担が重い。助成制度ができれば大きな力になる」と歓迎している。(野崎建一郎) (2013.2.15)
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