開所1年で14人受け入れ 虐待などで家庭に居場所を失った子どもの保護施設(シェルター)「ピピオの家」が広島市に開所し、11日で1年を迎える。これまでに14〜18歳の男女14人を一時的に受け入れ、親との話し合いや職探しの支援などをしてきた。一方、退所後に再び戻ってくる子どももおり、長期的なサポートが課題となっている。 ピピオの家は県内初の子どもシェルターとして、弁護士や児童福祉関係者でつくるNPO法人ピピオ子どもセンター(中区)が開設した。空き家を改装して寝泊まり可能な個室4室を設け、女性スタッフ3人が交代で常駐。14〜19歳を対象に最長2カ月間受け入れ、無償で食事を提供して心のケアもする。 「父親から暴力を受ける」「親に金を取られる」―。センターによると、14人はさまざまな家庭の問題を抱えて入所。平均約1カ月の保護期間中、弁護士が親と協議するなどし、5人が帰宅できた。このほか、仕事の傍ら定時制高校に通い始めた少年や、派遣会社の寮に住み込みで働き始めた少女もいる。 一方、退所後に就職して1人暮らしを始めたものの、環境の変化に対応できずシェルターに戻った子も。センター理事の那須寛弁護士は「シェルターはあくまで緊急的な避難場所。短期間で自立につなげるのは難しい」と説明。退所後も行き場のない子を受け入れる「自立援助ホーム」の必要性を訴える。 広島弁護士会は29日午後1時半から、自立援助ホーム開設などをテーマにしたシンポジウムを市青少年センター(中区)で開く。ピピオ子どもセンターも後援し、舟入高と沼田高の演劇部員や弁護士らが、シェルターでの子どもの様子を描いた劇を上演。ジャーナリスト江川紹子さんの講演もある。無料。弁護士会=電話082(228)0230。(永里真弓)
(2012.4.11)
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