中国新聞


岡山の保育所の耐震化、立ち遅れ
「待機」多く新設優先
国の補助制度の活用不十分


 岡山県内の保育所の耐震対策が遅れている。2009年4月時点の保育所の耐震化率は56・1%、耐震診断の実施率は10・3%。県は12年度から5年間の中期行動計画素案で公立の小中高校や幼稚園の耐震化率を100%にするとしたが、保育所の目標は示していない。

 厚生労働省の調査によると、延べ床面積200平方メートルを超えるなど一定規模以上の県内の保育所は221棟。このうち1981年以前の古い耐震基準の建物は107棟だった。ただ耐震診断を実施済みだったのはわずか11棟にとどまった。

 耐震診断後の補強工事などで耐震性が確認された10棟と82年以降の新基準の建物114棟を合わせると、全棟数に対する耐震化率は56・1%だった。

 井笠地域で耐震性が確認されている保育所は、笠岡市の全8棟のうち2棟、井原市の全2棟、浅口市の全9棟のうち8棟だった。

 一方、11年4月時点の公立小中学校の耐震化率は68・3%、耐震診断実施率は99・4%。公立幼稚園の耐震化率は54・3%と低いが、耐震診断実施率は98・8%となっている。

 保育所の耐震化が遅れている原因には財政状況の厳しい市町村が地域の避難所となっている小中学校の補強を優先している背景がある。さらに待機児童の多い市町村は古い保育所の耐震化よりも新設を急ぐ傾向もある。

 国も保育所の耐震化費用を補助する制度を設けているが、十分活用されていないのが実情だ。県独自の支援制度もなく、県が8月に示した中期行動計画素案にも保育所の耐震化の目標はない。

 県子ども未来課の小野恵子課長は「保育所の耐震化の重要性は認識している。国の補助制度の紹介など、県として可能な支援はしていきたい」としている。(永山啓一)

(2011.10.31)


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