中国新聞


「子ども条例」賛否交わす
自尊心を育てる まずは親が責任
中区でシンポ


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子ども条例について賛否の意見が交わされたシンポジウム

 広島市が制定を目指している子ども条例について考えるシンポジウムが16日、中区の広島国際会議場であった。保護者や学校関係者たち約330人が参加し、賛否双方の立場から意見を交わした。

 市と市教委が主催した。パネル討論では、市の担当者が「虐待防止など、健やかな成長につながる」と条例の意義を説明した。NPO法人子どもコミュニティネットひろしまの小笠原由季恵代表理事は「子どもの社会参加で、よりよい社会にできる」。基町小(中区)の仏円弘修校長は「子どもが安心感を持てる社会が自尊感情を育てる」と賛同した。

 これに対し、広島音楽高(西区)の山広康子校長は「条例が無くても学校や地域で取り組める」と指摘。市PTA協議会の谷村敏彦会長代行は「子どもが権利を振りかざすより、親が責任を持って子育てすることが大事」と訴えた。

 市は昨年12月、子どもが安心して生きる▽愛情をもって育てられる▽豊かに育つ▽まちづくりなどに参加する―の四つの環境整備を掲げた条例案を公表。3月の市議会定例会での成立を目指したが、自民党系議員などに反対が強く提出を見送った。

 市は年度内の提案に向け、パンフレットを作るなど市民への説明を続けている。西区の会社社長、永田信治さん(44)は「賛否を考える上でさらに議論が必要」と話していた。(教蓮孝匡)

(2010.5.17)

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