中国新聞


岡山大大学院 森島教授に聞く
肺炎・脳症 5〜10歳で顕著
新型インフル 子どもの重症化急増


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 新型インフルエンザで、子どもの重症化が際立っている。入院患者の8割以上が14歳以下で、さらに、重症肺炎が多く、脳症の患者は5〜10歳が最も多いなど、季節性とは明らかに異なる傾向を示している。日本小児科学会新型インフルエンザ対策室長で、厚生労働省のインフルエンザ脳症研究班の班長を務める岡山大大学院の森島恒雄教授に現状と注意点を聞いた。(平井敦子)

 ◆重症肺炎

 季節性のインフルエンザではほとんど見られなかった重症肺炎が多いのが、新型の特徴だ。日本小児科学会に報告された新型インフルエンザによる重症肺炎の患者数は17日現在242人。特に5歳から10歳に多く、全体の7割強を占める。

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「病院では、いつもとどこが違うのか子どもの症状をきちんと説明することが大切です」と助言する森島教授

 新型は、肺の深いところでウイルスが増殖しやすい傾向がある。ウイルスの増殖を抑える治療薬タミフルやリレンザの重要性は、いつもの年に増して大きい。

 発熱から呼吸困難になるまで、たった数時間で進行する点も注意すべきだ。保護者のみなさんは、子どもが「ひゅーひゅー」「ぜいぜい」と息をしたり、「苦しい」と訴えるなど呼吸困難の症状があったら、病院に急いでほしい。

 ◆急性脳症

 厚生労働省の調査では、インフルエンザによる急性脳症で入院した14歳以下の患者は17日現在で213人。ここ数年の同年齢の患者は100〜200人で、既にワンシーズンを上回る勢いだ。

 国内の現時点での新型インフルエンザの全感染者は約700万人と考えられている。感染者が国の推測する3千万人に達すると仮定すると、脳症患者は今の4倍になる可能性もある。

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 日本小児科学会への報告例でみると、新型インフルエンザの脳症患者は、重症肺炎と同じく5〜10歳がとりわけ多く、全体の7割弱に及ぶ。5歳以下が8割を占めていた季節性とは、明らかに違う傾向が出ている。

 脳症は治療法が進歩してきてはいるが、8%が死亡し、25%に神経系の後遺症が生じる。けいれんや意識障害、幻視、幻覚などのおかしな言動があれば、できるだけ早く受診してほしい。

 ◆乳幼児の急死の増加

 10月下旬から11月にかけて、5歳以下の乳幼児がふとんの中で急死するなどの報告が相次いでいる。分析可能な死亡例18例のうち、0歳は2人▽1〜5歳は9人▽6〜10歳は4人▽11歳以上は3人で、半数以上が5歳以下となっている。

 理由はまだよく分からない。これまでは小中学校で感染が広がっていたのが、乳幼児に拡大している可能性が高い。乳幼児の保護者も注意してほしい。

 新型インフルエンザは、子どもたちが重症化するリスクが高い。早期のワクチン接種が望まれる。

(2009.11.25)

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