中国新聞


公立学校 耐震調査
山口県内39棟 倒壊の危険性
小中耐震化率 2年連続全国46位


 文部科学省が16日に発表した公立学校施設の耐震調査結果(4月1日現在)で、精密な2次診断の結果、山口県内の小中学校29棟、高校9棟、総合支援学校1棟の計39棟が震度6強以上の地震で倒壊や崩壊の危険性が高いことが分かった。地震時の避難場所となる小中学校の耐震化率は48・1%で、2年連続で全国ワースト2。耐震化の遅れがあらためて鮮明になった。

 調査によると、県内の公立学校施設は2408棟。新耐震基準で耐震性があるとされる1982年以降に建てられた1013棟を除き、県と市町が耐震診断を実施している。

 このうち、2次診断の結果、39棟は安全性を表す構造耐震指標Is値が、震度6強以上で倒壊などの危険性が高い0・3未満とされた。耐震性が不十分とされる0・7未満も幼稚園2棟、小中学校83棟、高校23棟、総合支援学校9棟の計117棟に上った。

 学校別の耐震化率は、小中学校が48・1%で昨年に続き全都道府県で46位。県立高校は53・7%で40位▽総合支援学校は76・7%で32位▽幼稚園は30・4%で45位。いずれも全国平均を下回った。簡易な1次診断しか終えていない施設も多く、今後の2次診断でIs値が0・7未満となる建物は増える見通しという。

 耐震化率が低い背景として県教委は「山口県は過去に大地震もなく、政策の優先順位が比較的低い。巨額な経費もネックになっている」と説明する。

 一方、地震防災対策特措法は、都道府県や市町に耐震診断結果の公表を義務づける。県教委は12日に急きょ公表したが、文科省の調査結果公表では、山口市教委とともに未公表とされた。防府市も震度6強以上で倒壊などの危険性が高い1棟の校名などは「本年度実施分とまとめて公表したい」として明らかにしていない。(石井雄一)


 震度6強以上の地震で倒壊などの危険性が高い公立学校施設は次の通り。(4月1日現在)

 【幼稚園】=なし

 【小中学校(29棟)】柳井市(1棟)=柳井南中・教室棟▽光市(9棟)=浅江小・屋内運動場、島田小・同、上島田小・同、光井小・同、室積中・同、島田中・同、大和中・同、三輪小・同※、三井小・同※▽下松市(1棟)=下松小・屋内運動場▽防府市=1棟(校名と施設名は本年度内に公表)▽山口市=1棟(今月下旬に公表)▽宇部市(1棟)=新川小・管理教室棟▽山陽小野田市(1棟)=厚陽中・管理普通教室棟▽下関市(7棟)=川中小・管理棟、桜山小・屋内運動場、清末小・同、川中西小・普通教室棟、山の田中・特別教室棟、勝山中・普通特別教室棟、安岡中・普通教室棟▽萩市(1棟)=萩東中・屋内運動場▽和木町(3棟)=和木小・屋内運動場、同・普通教室棟2棟▽周防大島町(1棟)=久賀小・普通特別教室棟▽平生町(1棟)=平生中・屋内運動場▽阿武町(1棟)=福賀小・中・屋内運動場

 【高校(9棟)】岩国総合・屋内運動場▽岩国商・屋内運動場▽柳井商工・実習棟、屋内運動場▽熊毛南・屋内運動場▽徳山・普通教室棟▽山口・屋内運動場、武道場▽下関南・管理棟

 【総合支援学校(1棟)】豊浦総合支援学校・本館棟

 ※耐震補強工事を実施済み


(2009.6.17)

【関連記事】
耐震化、中国5県進まず 文科省全国調査 (2009.6.17)
公立小中校耐震化58.2% 岡山県内全国34位 (2009.6.17)



子育てのページTOPへ