悩める祖父母のヒント本
「娘や嫁と意見が合わない」「自分の時の子育てを忘れてしまった」…。企画報道「孫育てのとき」第一部の連載後、若夫婦との世代間ギャップや育児法の変化に戸惑う、祖父母世代の読者の声が多く寄せられた。「孫育て」をテーマにした書籍から、悩める祖父母のヒントになりそうな七冊を紹介しよう。(西村文)
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娘や嫁と意見合わない/初孫との付き合い方は
7冊紹介 最新事情や専門家助言
「孫育ての時間(とき)」(吉備人出版、千四百七十円)は、初孫を迎える人向きの入門書。五年前から「孫育てセミナー」を続ける岡山市の産婦人科医院「サン・クリニック」のスタッフが書いた。「赤ちゃんの分まで食べなさい、は飽食の時代には不要」など妊娠中の注意点や母乳育児の進め方、病気への対処法を、一昔前との違いに焦点を合わせて解説。今どきの育児法の理解度を確かめられる自己採点チャートも付いている。
「孫育てじょうず」(主婦の友社、千三百六十五円)は育児の基礎知識のほか、誕生から小学校入学までの祝い事の当世事情も。「孫にしてあげたいことは」「祖母に育児をアドバイスされたらどうするか」など、祖母と母親、それぞれ百人が回答したアンケートは、良好な協力関係を築く参考になるだろう。
「格好いいおじいちゃんを目指したい」という団塊の世代向けには、「孫にモテるための本」(第三文明社、千五十円)がある。「見栄え良くかつ安全に、そして手や肩が凝らない初孫の正しい抱き方」「オタク孫との付き合い方」などを図解入りで手引きしている。笑いながら読むうちに自然と、子や孫との世代間ギャップを乗り越えているかも。
「娘や嫁の子育てに不満だらけ」というストレスを抱えた女性にお薦めしたいのは、「孫との素敵なつきあい方」(赤ちゃんとママ社、千四百七十円)と、続編の「もっとわかる! 思春期までの孫のこと―孫との素敵なつきあい方パート2」(同社、同)。
読みどころは、祖母世代から寄せられた相談に対する、精神科医のなだいなださんの回答。「孫が嫁の実家にばかり懐いて寂しい」という悩みに、「(息子に)『もっと孫の顔が見たい』と言ってみてはどうですか? 息子がその気持ちをくんでくれないとしたら、そう育てた自分の責任です」と答えるなど、温かく、時に厳しい。
「孫の心が分からない…」と悩む祖父母は、心理学の専門家のアドバイスに耳を傾けてみては? 世界的ベストセラー「小さいことにくよくよするな!」の著者で、米国の心理学者リチャード・カールソンさんの書いた「孫ができたら読む本」(扶桑社、九百八十円)は、気楽に孫と付き合う百のこつを紹介する。スクールカウンセラーとして活躍する臨床心理士、岡崎光洋さんの「かわいい孫の愛し方―甘やかしが孫を駄目にする」(熊日出版、千五百円)は、キレる少年の背後に潜む祖父母の影響などについて具体的な事例を解きほぐしている。
■「今どき子育て 知ってほしい」
企画報道「孫育てのとき」を取材しながら、子育て世代から「祖父母の手助けには感謝しているけれど…。今どきの子育て事情も知ってほしい」と願う声を何度も聞いた。祖父母世代は親世代より一回り広い視野と心で見守ってほしい。子育て世代の記者としては、今どきの情報をちょっと学ぶことで、かつての子育て経験を大いに生かして、と願うばかりだ。 |
2006.2.14