紛争など世界の問題も、自分の身の回りの人間関係も、後で振り返ると「あの時こうすれば良かった」と分かるのに、自分が問題のさなかにいると気付くのが難しいところが似ていますね。どちらも、ダメージが浅いと修復できますが、大きな亀裂や被害が出てしまうと、後悔しても取り返しがつかないものです。だから、問題が大きくなる前に解決する方法が大切です。
子ども兵は、残念ながら今でもソマリアやコンゴ民主共和国、南米のコロンビア、中東の一部の国などに存在します。一方、子どもの徴兵を禁止する法律に署名する国が増え、ダルフールでは武装勢力が子ども兵の引き渡しに応じるなど、進展もあります。
東日本大震災と紛争地の復興を見て共通して感じるのは、住民ができること、政府しかできないこと・すべきことをまず明らかにし、埋められないギャップを民間などが支援する役割分担の大切さです。支援する側の思いが強すぎて、住民が自分たちでできることまで支援しても自立の芽を摘んでしまうこともあります。逆に民間ができることを政府がしても復興は進みません。
復興には長い時間がかかります。一方、日本の災害の復興支援を見たアフリカなどの国から、ノウハウを教えてほしいと要請を受けています。
紛争や貧困から立ち直り、成長していく国がアフリカなどでも増える中、戦争や震災の復興を経験した日本が、対等なパートナーとして復興を果たす世界の国々と関わっていくことを始めるチャンスが今だと私は考えています。
せや・るみこ 1977年群馬県生まれ。英ブラッドフォード大大学院修了(紛争解決学)。非政府組織(NGO)職員(ルワンダ)、国連ボランティア(シエラレオネ)、日本大使館書記官(アフガニスタン)、国連職員(コートジボワール)などで兵士の社会復帰支援や平和構築活動をし、2007年4月から現職。11年9月「職業は武装解除」出版。ひろしま国では18号「平和をつくる」の、28〜54号で「みんなの平和教室」を連載。34歳。
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