一月にスタートさせた連載「いいお産考」。産科医師と助産師の不足などから、厳しさを増す産む人たちの環境を、どうすれば好転させることができるのか。取材を重ねながら探った。
産む人たちの思いに耳を傾けなければ、答えは見つかりそうにない。医師ら支える側だけの事情で講じられた対策は、産む側を満足させることができないばかりか、不利益を招きかねない。
一方、産む側と支える側との乖離(かいり)がこのまま進めば、どうなるのか。増え続ける産後うつや児童虐待に、お産の現場は立ち往生するばかりだろう。
答えを模索する努力はまず、産む人たちに求められている。お産は命懸けの営みだ。そして産後は待ったなしに子育てが始まる。「産ませてもらおう」と他人任せであっても、「自分で産み育てる」現実からは逃げられない。
自分は、どんなお産がしたいのか。求めるお産の姿は、主役である産む人にしか描けない。産む側の思いが、支える側とかみ合ったとき初めて、「いいお産」が実現する。(平井敦子、上杉智己) |