患者・家族の負担軽減
島根大医学部付属病院(出雲市)は11日、島根、鳥取両県で初の小児心臓外科の専門チームを立ち上げ、10月下旬から手術を始めると発表した。県外への通院、入院を強いられていた患者と家族の経済的、精神的負担軽減を図る。 島根医科大(現島根大医学部)卒業生で静岡県立こども病院(静岡市)などで2千例以上の手術に携わった藤本欣史助教(43)が今春、島根大に着任し、スタッフ約20人とともに準備を進めている。手術日は毎週水曜日で1日1例の予定。少しずつチームの熟練度を高めながら手術数を増やし、5年後に年間100例を目指す。 この日、同大医学部で記者会見した藤本助教は「小児心臓手術の拠点は山陰にも必要。患者と家族の目線に立った医療を提供し、笑顔で退院してもらえるようにしたい」と抱負を語った。 同付属病院によると、本年度は約10人が手術を受ける見通し。心臓手術の必要な子どもは同病院だけで例年約15〜20人いたが、これまでは心臓手術ができないため、広島、岡山両県の医療機関を紹介していたという。 だが、乳幼児の県外への通院、入院には親の付き添いを伴い、移動や滞在場所の確保などの経済的負担が生じていた。さらに付き添うことで、患者のきょうだいが親から引き離されるなど、家族の精神的負担も重い。 「全国心臓病の子どもを守る会」県支部の佐々木洋子支部長は「他県の医療機関も今は予約を取るのが大変。地元で手術が受けられれば、付き添いで家族がばらばらになることもなくなる」と期待していた。(土井誠一) (2013.9.12)
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