中国新聞


県立広島病院 成育医療センター7ヵ月
8診療科 連携スムーズ
新生児の病気など対応


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発達検査の情報を共有するため開かれた、新生児科と小児感覚器科の合同カンファレンス

 中国地方初となる県立広島病院(広島市南区)の成育医療センターが開設から7カ月を超えた。産科や新生児科など八つの診療科が連携。新生児の病気や障害の早期発見と対応、低体重児の発達の見守りなどに成果が出始めている。

 ある新生児に、尿が出にくい症状が見つかった。新生児科から連絡を受けた小児腎臓科の医師が、超音波検査の画像を点検。尿路がふさがれていることが分かった。小児外科の医師と連携し、腎臓に管をつないで尿を体外に出す手術をした。小児腎臓科の大田敏之医師は「診療科間の垣根が低い」と利点を話す。

 センターは3月に開設した。産科、新生児科、小児科、小児外科、婦人科、小児感覚器科、小児腎臓科、生殖医療科でつくる。医師は計26人。必要に応じて、複数の診療科の専門医が患者情報を共有。手術の立ち会い、合同カンファレンスなどを進める。

 4〜8月、8科の延べ入院患者数は父母と子どもを合わせて約1万6千人。前年同期より約1割増えた。新生児科の入院数は半年間で199人。昨年の年間約300人のペースを上回る。

 新生児科の福原里恵医師は「低体重で生まれた子は、聴覚や言語の発達を注意深く見守る必要がある。小児感覚器科との連携は不可欠」と強調する。

 小児感覚器科にとっても、診察や治療に新生児科からの情報が欠かせない。発達検査や、発音の様子を映したビデオ、親からの聞き取りの結果を両科で検討し、精密検査につなぐ。異常があれば、言語療法などにスムーズに移行できる。

 5月に超低体重で長男を産んだ廿日市市の主婦(32)は「子どもの情報が院内で共有されていると、成長の過程で何かあったときも安心して診てもらえる」と喜ぶ。占部武センター長は「命の危険を伴う妊婦や子どもを受け入れ、8科が協力して高度な医療を進める。専門医師の育成も担いたい」と話している。(衣川圭)


クリック 成育医療センター 不妊治療など親世代の医療から、赤ちゃんが新生児、小児、思春期を経て成人になるまでを複数の診療科が連携して診察する。小児特有の病気を患ったり、発達の遅かったりする子どもたちに継続的なチーム医療ができる。県立広島病院のほかに国立成育医療センター(東京都)、埼玉医科大病院(埼玉県)、松山赤十字病院(愛媛県)にある。

(2009.10.15)


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