自治体「自己判断を」 中国地方、保護者「国の情報必要」
厚生労働省が子宮頸(けい)がんワクチン接種の呼び掛けを一時中止するよう自治体に勧告したのを受け、中国地方の自治体は、医療機関への連絡や接種を案内するはがきの送付中止など対応に追われている。接種の主な対象となる10代の娘を持つ保護者にも戸惑いが広がった。 無料で接種が受けられる小学6年〜高校1年相当の女子は、広島県内に約6万7千人いる。県感染症・疾病管理センター(広島市南区)は、23市町と県医師会に、接種のリスクなどをまとめた文書を電子メールで送った。 広島市は当初、約3万人に接種案内のはがきやチラシを配布する予定だったが、準備作業を急きょ中止。福山市は接種を委託している医療機関約170カ所に、勧告を伝えた。 岩国市には、保護者7、8人から「接種しないほうがいいのか」などの問い合わせがあった。健康推進課は「国の方針が固まってない以上、接種の現場である医療機関で対応してもらうしかない」と困惑する。既に中学1年生の約千人に接種案内を送っていた山口市。リスクを理解した上で接種を自主判断するよう求める文書を18日、発送した。 「受けさせたいと思っていたところなので、判断に困る」と話すのは、小学5年の長女(10)を持つ東広島市の会社員女性(38)。「ワクチンは予防効果が高いと聞く。国は本当に安全なものを提供し、情報も明確に出してほしい」と訴えた。 子宮頸がんワクチンは4月、無料の接種が始まったばかり。既に娘2人に接種させた廿日市市のパート従業員沖直子さん(44)は「たまたま娘に副反応が出なくてよかったが、短期間で判断が変わるのは驚き。きちんと調べてから始めるべきだったのでは」と話す。 どんぐり小児科(広島市西区)の山本恵医師は「リスクを懸念する保護者がいる以上、勧告は致し方ない対応だと思う。ただ、ワクチンは効果もあるので、自己判断に委ねるのではなく、国が早急に調査し、判断するべきだ」と話している。(永里真弓、有岡英俊、和泉恵太) (2013.6.19)
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