保護者4分の3が相談後、受診見送り 広島県は、本年度から看護師が夜通しで子どもの病気の助言をする小児救急電話相談により、夜間救急の受診が年間で延べ約1万1500人減り、医療費を約1億円削減できるとする試算をまとめた。電話相談を利用した保護者の4分の3が「夜の受診を見送った」とのアンケート結果を基に分析。軽症で急ぎでない場合の子どもの受診を大幅に減らせる効果があるとみている。 アンケートは8月、県出資のひろしまこども夢財団が子育て中の父母たちに送るメールマガジンの登録者1万9353人を対象に実施。3・6%の695人から回答を得た。電話相談を利用したことがあったのは238人。このうち217人が相談後の行動について答えた。 最多の113人(52・1%)が「翌日、かかりつけ医に行った」と返答。「相談して納得した」が26人(12・0%)、「受診の必要はなかった」が22人(10・1%)で、計22・1%が受診していなかった。 「夜間救急を受診した」は55人(25・3%)にとどまり、「119番した」は1人(0・5%)だった。 県は本年度、午後7〜10時だった相談時間を翌日の午前8時まで延長。相談数を前年度の2・4倍の1万5500人と推計する。 アンケート結果を当てはめると、1万5500人のうち4千人が夜間診療を受ける一方、8071人は翌日に受診。3428人は受診しない。その場合に医療費は、全員が医療費の上乗せがある夜間に受診した場合に比べ1億900万円削減されると試算した。 本年度の電話相談の予算は2800万円。県医療政策課は「保護者の不安解消や医師の負担軽減に加え、一定の医療費削減効果は上がりそうだ」とみる。 広島国際大の江原朗教授(医療政策)は「子どもの受診は全国的に日曜日や夜間が約1割を占めるが、(発熱や軽い打撲などで)緊急性がないケースもある。電話相談で保護者に安心感を与えながら、緊急を要する人と翌日の受診でもいい人を振り分ける意義は大きい」としている。(衣川圭)
(2012.10.3)
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