医師確保へ支援拡充を 福山・府中地域小児救急医療連絡協議会 大江啓二会長
医師の不足や過度な負担から、福山市の小児2次救急病院で患者を受け入れられない日が生じている。改善策を議論する福山・府中地域小児救急医療連絡協議会の大江啓二会長(59)に現状と課題を聞いた。(水川恭輔) ―毎日受け入れられなくなった原因は。 根本的原因は約5年前から若い小児科医師が増えていないこと。新人医師が研修先を自由に選ぶ臨床研修制度が2004年度に始まり、地方大学が地方の病院に医師を送るシステムが崩れた。 さらに本来対象としていない風邪などの軽症の受診が相次ぎ、負担が増した。市民には軽症時には原則日中にかかりつけ医師、やむを得ず夜になる場合も夜間小児診療所での受診をお願いしたい。 ―一般の保護者に軽症かどうかの判断は難しくありませんか。 目安はある。夜に熱が出ても子どもの機嫌が良く、ある程度水分補給できれば、翌朝の受診でほぼ大丈夫。一方で生後2、3カ月での発熱や、嘔吐(おうと)、下痢をして水分もあまり取れない場合は救急病院にかかってほしい。 ―協議会で今後議論すべき課題は。 医師確保に尽きる。これまで市の積極的なアプローチが欠けていた。大学側に単に派遣要請するだけでなく、小児救急の充実に向けた市独自のビジョンを示す必要がある。そのために協議会では、医師の負担軽減策や救急病院への補助拡充について議論を進めたい。 ―保護者には、診察が午後11時までの夜間小児診療所の時間延長を望む声もあります。 2次救急の負担軽減のために一度議論したが、担当する開業医の翌日の仕事への影響が大きく、立ち消えになってしまった。市内の開業医も高齢化して60〜40代が中心。健診などの負担も多い。小児2次救急病院に開業医が出向く考え方もあるが、結局は福山に若い医師を増やすことが欠かせない。 ―協議会の今後のスケジュールは。 3カ月に1回のペースで開き、来年5月までに改善策の指針をまとめるつもりだ。年間で繁忙期と閑散期の差が激しい小児科は、ほかの診療科に比べて赤字体質で全国的に縮小傾向という問題も抱える。状況が厳しいからこそ、実現性の高い改善策を作りたい。 ◇ ◇ おおえ・けいじ 福山市曙町在住。鳥取大大学院医学研究科卒。国立福山病院(現福山医療センター)勤務を経て、1989年に同町におおえ小児科を開院。2010年4月から市医師会理事(母子保健、夜間小児診療所など担当)も務める。59歳。
(2011.7.4)
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