中国新聞


体機能向上へ特製用具 いす・机など教員が手作り
県立広島特別支援学校、児童の自発運動促す


   

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教員に腕や首を支えられながらアクセサリーを作る児童

 広島県立広島特別支援学校(広島市安佐北区)の小学部で、身体、知的の両方に重い障害がある児童が、教員手作りのいすや机を使って学校生活を送っている。車いすから離れる時間を増やす試み。身体機能の向上や体力づくりに効果を挙げている。

 小学部2年の朝の会。背もたれのない長いすに、児童5人と教員が前後に並んで座った。教員は後ろから体を支え、腕や首に手を添える。児童は歌に合わせて竹製楽器を打ち、リズムを取る。続く「表現」の授業でも長いすのまま、フェルト生地を接着剤で丸め、アクセサリーを仕上げた。

 現在27人が通う小学部は約10年前から、教員がいすや机を作っている。バランスを養うため、いすの床との接地部を丸く加工。作業しやすいよう机の天板に滑り止めのスポンジを張る工夫もする。

 児童の生活は車いすの時間が長い。担任の加地信幸教諭(40)は「自分の力で座ろうとすることが、全ての運動の第一歩。体を部分的に動かす次のステップにつながる」と話す。教員にもたれかかることが多かった児童は1年間で変化。自ら体を支え、自発的に手や頭を上げようとするようになったという。

 台車を使った体力づくりも。児童は介助を受けながら、膝立ちやあぐらの姿勢を保つ。

 2年鈴木大晴君(8)の母ゆかりさん(34)は「表情も豊かになり介助の負担も減った。この1年は元気よく過ごせた」と喜ぶ。

 同校は、他校の相談にも応じ、研修会の開催や補助具の貸し出しをしている。室積幸生校長は「子どもたちは1年間で大きく成長する。力や可能性を保護者と協力して伸ばしていきたい」と言う。(有岡英俊)

(2012.3.13)


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