中国新聞


景気低迷 困窮の母子家庭増
島根県貸付額最高 3億5000万円
10年度 償還率最低 財政圧迫


   

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 母子家庭の生活支援を目的にした島根県の母子・寡婦福祉資金貸付金制度の貸付額が2010年度、過去最多の3億5千万円となった。景気低迷で生活に困窮する母子家庭が増えているためだ。一方、返済の割合を示す償還率は10年度末で過去最低を更新する見通しとなっており、一般会計から繰り入れて貸し付ける事態となっている。

 県によると、10年度の貸付金は、過去最高だった09年度の3億200万円より15・9%増えた。貸付件数も749件と、同じく09年度の710件を超え、過去最多を更新した。

 約8割が子どもの就学費用に対する貸し付けで、県は「不況で母親の就業環境が悪化し、収入減につながっている」とみる。

 県が今月まとめた実態調査でも、県内の母子家庭7311世帯のうち、年収100万円以下の割合(10年11月時点)は9・8%となり、05年の前回調査より1・7ポイント増えていた。

 一方、貸付金返済の請求額に対する返済額を示す償還率は10年度末で、過去最低だった09年度の43・7%を下回る見通し。記録の残る05年度(53・6%)から5年連続の低下となる。

 貸付額の増加と償還額の減少が響き、10年度は特別会計(2億1400万円)では対応できず、10年ぶりに一般会計から5200万円を繰り入れた。11年度当初予算でも、1億2千万円の繰り入れを見込んでいる。

 県は本年度、利用者に返済を促す償還指導員を2人増やし、6人体制とした。県青少年家庭課は「支援が必要な家庭を助け、県財政への影響を抑えるためにも、ねばり強く返済を呼び掛けていく」としている。(樋口浩二)


母子・寡婦福祉資金貸付制度 母子・寡婦世帯の生活支援を目的に、県が1953年に創設。授業料や入学金など就学関連の費用に対する貸付額が最も多い。自宅以外から国立大に通う子どものいる家庭には、月額7万6500円を上限に無利子で貸す。転居や住宅購入の費用に対する貸付金もある。償還期限は3〜20年、用途で異なる。

(2011.6.3)


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