広島県作製 児童に配布
家庭での省エネ活動を日記に書き留める「エコチャレンジ日記」が、広島県内の小学生に普及している。日常生活を親子で振り返り、家族ぐるみで環境意識を育てるきっかけに活用されている。 広島県海田町の小学5年田村羽菜さん(11)は、トイレの音を聞くだけで、流す水の量が分かる。「小さい方で流しんさい」。両親と4人きょうだいの「小さな無駄」に敏感に反応する。 「使っていない部屋の明かりを消した」「風呂の残り湯を花壇にまいた」…。日々の積み重ねを記録した羽菜さんの日記を、母親の友美さん(37)は週1回チェック。「米のとぎ汁で床をふいたよ。ワックス効果があるらしいよ」などと書き込み、家庭での実践の背中を押す。 「こたつのつまみをそっと『弱』にしたり、光熱費の領収書を両親より先に確認したり…。日記をつけるようになって、ずいぶんしっかりしました」と友美さん。8週間分が1冊となった日記を書き終えた今も、「これでストップじゃなくて、続けようね」と励ましている。 県が昨年、初めて作製したエコチャレンジ日記。県内の小学校高学年全員に行き渡るように2万7千部作った。「水を流しっぱなしにしなかった?」「テレビを見る時間を1時間減らせた?」…。九つのチェック項目があり、ゲーム感覚で級友と達成度を競うこともできる。「照明用の電力は家庭全体の16%」「4人家族が1年で出すごみは1トン以上」などの「豆知識」も紹介している。 羽菜さんが通う海田小では昨年9月中旬から11月中旬まで取り組んだ。他の家庭の実践を参考にしてもらおうと、保護者に「わが家の工夫」を模造紙に書いてもらい、参観日に合わせて廊下に掲示した。 風呂を追いだきせず家族が連続して入るよう心掛けた家庭もあれば、普段使わない部屋の電気のブレーカーを落とすようになった人もいた。段ボールに生ごみを入れて堆肥(たいひ)を作った感想も寄せられた。 5年担任の岡田久美子教諭(46)は「日記を終えた11月に食品容器製造工場を授業の一環で親子で見学したら、多くの家庭が『プラスチックトレーの回収に協力します』と反応してくれた」と効果を実感する。 県はこの日記を小学生だけでなく、希望者にも配布中。新年度も継続する予定だ。県環境政策課の田中力主事(25)は「子どもが頑張る姿を見ると親も張り切る。難しいことではなく、日々の暮らしでできることから始めてほしい」と期待している。 家庭での省エネ活動を記録する日記は、非政府組織(NGO)「グリーンクロスジャパン」(さいたま市)が1999年に始めた「みどりの小道」が発祥とされる。中国地方では、「しまね自然と環境財団」の松江事務所(松江市)が2007年から、小学生向けに「もったいない生活日記」を配布。取り組みが広がっている。(石川昌義) (2010.1.18)
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