中国新聞


新型インフルワクチン
子ども接種 分かれる対応
中国5県 山口・岡山は前倒し


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 国の要請を受け、中国地方5県のうち山口、岡山の両県は1歳から小学校低学年までの新型インフルエンザワクチン接種を前倒しすることが10日、分かった。11月中旬から実施する。広島、島根、鳥取の3県は、持病がある人を優先する方針を崩さず、子どもは12月になる予定。県によって分かれる対応に、患者からは戸惑いの声が上がっている。

 山口県は16日から接種を始める予定の約4万9千回分の一部を子どもに振り分ける。接種を希望する妊婦と持病がある人は計約21万人いるが、健康増進課は「子どもの重症化例が増えており、県民の期待感が強い」と説明する。岡山県健康対策課も「流行が拡大している子どもに少しでも回したい」として、各医療機関への配布量を見直す方針だ。

 一方、広島県は10日、国の当初の指針通り、16日からの接種を、持病がある人と妊婦に限ることを決めた。対象者は計約19万1千人だが、国からの配分は約9万1700回分しかない。県健康福祉総務課は「優先順位の高い順に配るのが基本。健康な子どもに充てる量は到底残らない」と言い切る。

 島根、鳥取の両県も国の当初の優先順位を堅持し、子どもへの接種はしない。ただし、鳥取県医療指導課は「子どもは重症化しやすいことを考慮し、12月初旬の接種分は回せるように、配分方法を見直すかもしれない」と含みを持たせる。

 国が各県に前倒し接種の検討を求めた背景には、日本小児科学会の要望がある。同学会の新型インフルエンザ対策室長、森島恒雄・岡山大大学院教授は「新型インフルエンザの入院患者の8割は、小学生以下だ。子どもへの接種を早めることが感染拡大防止につながる」と主張する。

 子どもより優先されるはずの患者には困惑が広がっている。広島県腎友会の黒木暁登副理事長(68)=広島市南区=は「子どもに配慮する考えは理解できるが、免疫力が低下している透析患者は重症化を恐れている。当初の順番通りが一番いい」と話している。(藤村潤平、田中美千子、衣川圭)

(2009.11.11)

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